7月15日:島根を後に

7月15日(月):島根を後に

 

 今日、島根を後にする。

 毎年、この日は寂しい感じを経験する。もう少しここに居たい気持ちもあれば、次はここに来れるだろうかという気持ちも生まれる。それでも、帰宅して、僕の日常に戻らなければならない。

 朝食後、旅館を後にする。一日かけて京都まで帰ることになる。

 最初にコンビニに寄る。ローソンだ。僕がビックリしたのは、お弁当にご飯がないのだ。店舗でご飯を炊いていて、お弁当を買った人はそこでご飯を入れてもらうのだ。すごいシステムだなと思った。でも、おかずだけ欲しいという人にはいいかもしれない。

 

 のんびりと国道を走る。道中、二か所の道の駅に寄る。

 最初の道の駅では、僕は喫煙場所でタバコを吹かしていた。びっくりしたのは、そこにお坊さんがやってきたのだ。僕は思わずお坊さんに会釈をした。お坊さんも会釈を返した。一体、こんなところにお坊さんが来て何をするんだろうと思っていたら、なんてことはなかった。喫煙所の横に自動販売機があって、そのお坊さんはお茶を買いに来ただけだった。

 母たちは買い物をしている。そこでアイスクリームを食べる。食堂があるから、そこで食べていきなさいと勧めてくれる。食堂はまだ営業していなかった。食券の販売機を何気なく見ている。「わさび」なんてメニューがあるのは、驚きであると同時に、ワサビストとしてはなんか嬉しい。

 もう一軒の道の駅は、毎年ここに寄るのだけれど、母たちはここで買うものを決めているようだ。僕は何も買わない。

 

 高速道路に入ると、後は楽しみと言えばサービスエリアくらいなものだ。何も買わないけれど、店とか商品を見て回るのが楽しい。それに、周辺を歩いてみると、いろんな景色も見ることができて、それも楽しい。

 今日になって、ようやく天気が良くなった。夏らしい感じがしてきた。

 サービスエリアも生き残りを賭けているんだろう。そこでしか味わえない料理や商品、サービスを打ち出している。建物の横に、小さいながら、散策路を設けているところもあった。これはすごくいアイデアだと思った。ずっと車の中にいると、少し歩きたくなる。そこで歩く道を用意してくれているわけだ。でも、歩いているのは僕だけだった。

 

 連休の最終日なんだけれど、車は少ない。でも、関西に近づくほど、車の量が増える。景色も、山河の代わりに、建造物が増える。帰ってきたなという感じが強まってくる。

 家に近づいてくると感じられると、無性に本が読みたくなった。車中でジャネの本を紐解いたりもした。これは要するに、僕の日常に戻る前に、心的には日常に戻ろうとしていることなんだと思う。日常的にやっていることを、すでに始めたくなっている。

 

 夜には帰宅する。もっと遅くなるかと思いきや、割と早かった。荷物の整理がたいへんである。僕も運ぶのは手伝ったけれど、そこから先のことは僕には分からないので手が出せない。

 僕自身の荷物整理は簡単なものである。いや、ほとんど整理するものがない。お土産などを僕は買わないからである。島根に行くことは誰にも知らせていない。そこも例年通りである。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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