6月16日:「腹ピー」の日 

6月16日(火):「腹ピー」の日 

 

 今日は休みであることを計画していたのだけど、朝から腹具合がよろしくなかった。それで予定を変更することにした。 

 休日は外に出て、歩いて、日頃の運動不足を解消しようと決めている。腹具合が悪いので街中を歩くことにする。街中であれば、どことなりとトイレがあるだろうと思ったからだ。 

 京都の河原町に出る。辺りを歩き回る。時には店に入る。目に毒だ。欲しいものがいろいろ見つかる。なかには買おうかどうしようかと散々迷い、それをレジに持っていきかけたけど、やっぱりやめとこうと決めたものもある。できるだけ金も使いたくないと思うし、おそらく、それを買っても使うヒマがないだろうと思ったからだ。 

 三条木屋町辺りで最初の「腹ピー」が来た。京阪の駅まで行って、トイレに入る。京阪三条駅の地下が昔に比べてずいぶん広くなったけれど、人は少なく、閑散としていた。平日の昼間なんてこんなものかもしれないけれど、繁華街や観光地でも人が集まるところとそうでないところが、けっこうピンポイントで分かれるものだと思った。 

 昼食を採り、また歩く。二度目の「腹ピー」に襲われる。今度は百貨店に入って、トイレだけ借りる。京都市は、余計なことに、観光地に相応しくないと言って、パチンコ屋をなくそうと動いている。僕には困ることだ。僕にとって、パチンコ店はトイレなのだ。 

 どうしてこんなに腹具合が悪いのか。昨日、少し酒を呑んだ。それが堪えているのか。二日酔いとか、肝臓が重たいとか、そういうものはまったくないのだけれど、腹具合だけ悪い。何か悪いものを口にしたかと振り返ってみるが、何も思い当たらない。 

 しかし、つまらん。お腹の具合を気にしながら歩くというのは。愉しくないし、あまり行動範囲を広げることもできない。同じところをグルグル回っただけだった。 

 古本屋に入る。「おっ!」と思う本を目にする。P・ヒューズという人の書いた『呪術』という本である。僕は仕事とか趣味とは別に個人的に研究したいことがある。歴史はそれほど強くないけれど、第二次世界大戦と魔女狩りは研究したいと思っている。実際、過去に何冊か本を読んだことはあるけれど、いつか本腰を入れてやってみたいと思っていた。 

 考えてみると、やろうやろうと思っていながら、手を付けていないことがどれほどあるだろうか。いつかやろうと思っている間に、歳を取り、興味が失せて来るかもしれないし、それに対する熱意を失うかもしれない。根気だって続かなくなるかもしれない。そう思うと、やろうと思っている時にやった方がいいということになる。「今でしょ」というやつだ。 

 ただ、今日はお金をできるだけ使いたくない。その本は800円の値段がついていた。買おうかどうしようかでまた悩む。金額の問題ではなく、それに取り組む余裕があるだろうかということで迷っていた。でも、迷っても仕方がない。まずは購入してみることにした。 

 本を買い、喫茶店に入る。なんてこった! 喫茶店で本を読み始めてすぐに、再度「腹ピー」が襲ってきたではないか。こういう中断がめちゃくちゃ腹立つ。まあ、体のこと、生理的なことには抗えない。 

 買ってきた本を3分の1ほど読んで、昨日来られたクライアントの記録を二件作成する。記録用紙を持ち歩いていてよかった。コーヒー1杯で3時間ほど粘ったけど、そこは勘弁してもらおう。その代わり、あの辺りを歩いた時にはそこの喫茶店を利用することにしている。 

 帰宅時、集中豪雨に見舞われる。こういう時、僕は無理に帰ろうとはせず、駅で雨宿りをする。場所によっては、わざわざ喫煙室のある駅まで行く。タバコをくゆらせながら、『呪術』の続きを読む。間もなく雨も上がり、無事に帰宅する。 

 帰宅して、これを書いているのだけれど、その前に再び「腹ピー」に襲われた。ふぅ~、けっこう散々な休日だったかもしれない。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

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