6月15日:怪しい雲行き

6月15日(水):怪しい雲行き

 今、夕方6時前。もうじき夕食だ。それまでの時間に何か書いておこう。
 明日の手術を前にして、今日はたくさんの人と会った。主治医、麻酔科の先生、リハビリの先生、その他、スタッフの方々からも「明日の手術、頑張って」といった応援をいただいた。ありがたいことだ。
 しかし、応援が大きければ大きいほど、気持ちが落ち着かなくなる。僕の中では、大したことのない、ありきたりの骨折治療だと考えていた。内科手術じゃないし、難病の類でもないから、とても軽く考えていたんだな。
 それをみんなから「明日の手術、頑張って」と応援されると、却って緊張感が高まってしまう。みなさん、悪気があって言うものじゃないだろうけど、逆効果になる場合もけっこうあるものだと、そう思った。

 夕食が届いた。食事中に執刀医の先生が見えられた。骨折の個所は、折れ方が普通とは違うので、再手術が必要になる場合もあると、わざわざそれを言いに見えられた。アカン、アカン、不安ばかり募る。

 しかし、今日はいいこともあった、3日ぶりにシャワーを浴びることができた。日曜の朝以来だったから、自分でも自分が臭くてならなかった。やっと清潔になったという感じがした。
 若い女性看護師、もしくは介助関係の人かもしれないけど、その人と一緒に浴室に入る。かなりテンションが上がったね。全部任せればいいのかもしれないけど、僕の悪い癖で、自分でできる所は全部自分でやると言い張ってしまった。自分でできないところだけ援助してもらう。それ以外は自分でやりたがるのだ。
 それから、強制的に禁煙している。これが意外にも苦しくないのだ。僕はもっとさまざまな禁断症状に襲われるのではないかと心配していたけど、けっこう、何事もなく、平穏無事に禁煙が続いている。
 日曜日の晩11時頃が最後だったから、今で68時間くらい継続している。思っていたよりも苦しくない。
 ストレスはメチャメチャ感じられているけど、それ以上に意識を奪われる事柄がたくさんあって、タバコどころではないのかもしれない。でも、禁煙は退院後も続けよう。それにはここで下地をしっかり作っておく方がよさそうだ。

 再び中断。先ほどの医師が来て、患部の血を抜きたいと言う。血が溜まっている可能性があること、骨の感染症の疑いもあるということなので、血を抜きたいと言うのだ。だんだん怖くなってきた。
 それで血を抜いてもらった。普段、注射針なんかが刺さらない部位だけに、妙に痛かった。それに医師が血を絞り出すために、患部をギューギュー押さえるので、その度に「あいたた」と声が出た。
 場合によっては、明日の手術は患部の洗浄で終わるかもしれないとのこと。どうやら一筋縄では行きそうになくなってきたな。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー 

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