5月10日(水):<夢>「一緒に料理を待つ夢」
夢を見た。せっかく見たので記録しておこう。
(夢)「一緒に料理を待つ夢」
僕たちは数人で町を観光していた。京都の東山の雰囲気だった。坂道がたくさんあった。石畳の坂道を上がったところに美味しい料理店があると誰かが言いだした。みんなでそこに行こうということになった。坂道を上がって、そのお店に向かう。僕はどことなくここは以前にも来たことがあるなあと、そんな気持ちだった。お店に入る。なぜか裏口のような感じの入り口だった。僕たちは席に着くのだけど、そのうちの二人が向かいの料理屋に行くと言い出して、席を離れて行った。僕は残って、他の人たちと一緒に談笑しながら、料理が来るのを待っていた。
(連想と感想)
・数人の人たち。夢では仲良しグループのようだった。集団、社会性。前回の夢では同僚たちだった。
・町を観光する。普段は興味がない。知らない街を歩いたりするのは嫌いではないけど、観光は違う。観光には目的が伴う。
・京都の東山。いい所だと思う。風情があって、昔はよく歩いたものだった。
・坂道。今の僕の課題。足の怪我をして、今、坂道や階段の昇降が僕の課題となっている。
・美味しい料理店。これも僕には興味がない。興味が持てないことに対して、誰かが言いだして、それについて行くというのは、普段の僕の行動パターンでもある。
・以前にも来た感じ。人間が繰り返し体験することだと思う。前にもこういうことを経験したなという形で体験することだと思う。いい意味でも悪い意味でも、過去への接近。そこからの歩み直し。
・裏口のような入口。どこかあべこべの感じ。夢の中のそのお店はあまり商売気がない感じだった。誰にとっても入りやすい入口ではなかった。
・二人が別の店に行く。個人主義。集団の分裂。出て行ったのは二人だ。僕たちは、具体的な数字は不明だけど、4,5人だったのではないだろうか。
・料理を待つ。大きなテーブルを僕たちは囲んでいたような感じがする。料理はまだ運ばれていなかったのも覚えている。その後、料理を食べたという場面は見ていない。
もし、この二人が席を外さなかったら、僕たちが全員揃っていたら、料理を食べるというところまで夢に見たかもしれないと、そう思う。ここで分裂が起きたために、取り入れが遂行されなかったのだと思う。集団としてまとまること、集団の中に身を置くこと、その他商売気に関することから坂道を上るということまで、いくつもの課題が示された夢だったけど、僕の中に分裂が生じるので、そのどれにも取り掛かれていないのだという気がしてならない。
(おまけ)
夢には開始地点があり、結末がある。記述するときにはその順序で述べることになる。でも、それを読むときは逆から読むといい。これが僕の夢の読み方だ。
この夢では、結末は僕たちが料理を待っているという場面だ。料理はまだ届いていない。食べるとは外側のものを内に取り込んで、自分に同化する過程だという観点に立てば、僕たちはこれから何かを取り入れようとしているということになる。それが遂行できないでいるというのが、結末の部分だ。
僕たちがそれを遂行できないのがなぜなのかは分からない。ただ、それに先行して、僕たちのうちの二人が抜けたという場面がある。直接的なつながりはないかもしれないけど、何らかの関連があると過程しよう。すると、この二人が抜けたために取り入れがなされないでいるということになる。
この二人が抜けたのは、僕たち全員が揃ってその店に入ったからである。最初は全員が揃っていて、なんの意見の衝突もなかったのだ。全員揃っている間はグループは安定していたのだ。二人が抜けることでこの安定が崩れ、それが取り入れの遂行を妨げたという仮説を立てることができる。
そして、僕たちが全員揃ってそのお店に入ったのは、言い出しっぺの一人が提案したからである。この言い出しっぺに全員が従ったわけである。従って、ここで行われるはずであった取り入れを一番必要としているのはこの言い出しっぺであったということになる。
夢の中の人物がすべて僕の人格要素であるなら、この言い出しっぺは僕の一部である。それがどんな一部であるかは不明である。というのは、僕自身、この言い出しっぺがどんな人間であるか覚えていないためである。
僕の人格要素の一部は何かを取り入れることを強く欲している。人格要素の全部がそれに従う限り、問題は起きない。でも、人格要素の二つはそれに賛同しない。この二つは別の方向に向かう。言い出しっぺの一人に対して、反対者が二人なので、力関係上、反対者の方が強いということになる。
僕は一応言い出しっぺの方に与しているが、それほど力を有していない。むしろ、僕は両者に対して無感情だ。主体としての僕はその両方に本当に関わっているとは言えないのかもしれない。
では、この言い出しっぺは何を取り入れる必要を訴えているのだろうか。それはこのお店にある何かである。このお店は入り口が裏口のような感じで、商売気がない雰囲気だった。言い出しっぺ、並びに、消極的ではあるが僕も含めて、みんなこちらがいいと言っているわけである。二人だけここは良くないと言って、商売気のあるお店の方に行ってしまったのだ。
僕は自分の立場をきちんと見定める必要があるかもしれない。あるいは立場をきちんと作り直す必要があるかもしれない。僕のところはあまり商売気がないと評される。それが僕の性に合っているからなのだけど、この部分をもう一度考え直さないといけないのかもしれない。そんなふうに思われてくるわけだ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)