4月25日:Yさんの疲労感 

4月25日(水)Yさんの疲労感 

 

 このブログも、いい加減、面倒臭くなってきて、そろそろ止めようかとも思っている。読んでくれている人にとってはどうか分からないが、書いてる僕自身は何一つ愉しくないのだ。ワードに慣れるための、いわば毎日のエクササイズのような感覚で書いている。自分では少しも面白い物が書けていない感じがしている。きっと、書く方がこんな有様だから、読む方も退屈するのではないかと思う。でも、まあ、今日は書こう。 

 

 夜、Yさんと会った。僕を見て「大丈夫?」と声を掛けてくれる。面接後の僕を見ると、彼女はいつもそう尋ねる。面接後の僕は普段の僕とは違って見えるのかもしれない。 

 実際、どのクライアントとの面接でもそうなのだけど、面接を終えてからしばらくはそのクライアントのことが頭から離れない。面接は終わったけれど、僕の頭の中ではそれがまだ継続しているかのようだ。自分に戻るまでに僕は少し時間をかけなければならないのだ。その辺り、僕はまだまだ未熟者かもしれない。そう思うこともある。 

 でも、今日のYさんはいい。特にいい。何がいいのかと言われても困るのだけど、付き合い始めた頃、あるいは出会った頃と比べて、顔つきや表情に違いを感じるのだ。今日は特にそれを感じた。しっかりしてきた感じがある。 

 昨日もYさんとは会って、一緒に「遠足」に行ったのだけれど、彼女は仕事がきついと話してくれた。本当に苦しそうだった。見ていてそれがよく伝わってくる。でも、「きつかったら辞めてもいいよ」とは、僕はとても言えなかった。本当はそう言いたいところだけど、僕は心を鬼にするくらいの気持ちで、「きつくても耐えなきゃいけない」と言い続けた。自分でもこんな厳しいことを言わなければならないのが辛かった。 

 Yさんが勤め始めて一か月半ほどだ。とてもしんどい時期に差し掛かっているだろうと思う。一人で任される作業も多くなるだろうし、覚えることもまだたくさんあるだろう。とても辛いと思う。でも、僕が聴いた限りでは、なかなかいい職場だと僕は思うし、他の人たちもYさんに良くしてくれているようだ。キツイと言っても、イジメやシゴキがあるわけではない。 

 彼女がキツイと感じることの一つは、自分の時間がないということだ。仕事は生活の一部であるのだけど、彼女の場合、まだそこまで納まっていないで、仕事が生活の全部になってしまっている。最初はどうしてもそうなるものだ。そのうち、仕事が生活の一部になり、他の部分が生まれてくるようになると僕は信じている。 

 自分の時間がないから、好きなことができなくなる。これは彼女にとっては大きな問題だと思う。今までは仕事がなかったから、一日の全ての時間を自分のために使うことができたのだけど、その生活から比べると、今は本当に自由がないように経験されているのではないかと思う。 

 でも、仕事をしていると、やりたいことができなくなるのが普通だとも思う。それでいいと僕は考えている。「好きなことをやったらいいよ」で育てられた子供が、人から認められる大人になっていくのは難しいもので、僕たちは誰もがやりたいことの大部分を切り捨てなければならない。もしくは妥協しなくてはいけない。そうすることが、生きていく上では必要不可欠なのだ。そうしていくと、本当に大切なことや必要なことだけが残るもので、そうして残った部分がその人の生を方向付けたりするものである。または、その人の人生に秩序が生まれると言ってもいい。そういう作業をYさんはこれからしていくだろうと僕は思う。 

 それと、疲労感もある。彼女は体力がないからと言うのであるが、僕の考えでは、体力そのものはあまり関係がないと捉えている。これはYさんに限らず、誰にとってもそうだと僕は思っている。疲労を身体的なものと精神的なものとに二分するなら、純粋に身体的な疲労とはごく稀である。大半は精神的な疲労である。そもそも疲労感とは内的な体験なのであり、その観点に立てば、疲労とはすべて精神的、心理的なものであると言うことも可能なのだ。 

 そして、そういう疲労感とは、外側の影響が半分、内面の影響が半分ある。多くの人は外側のものしか見ない。内面のものに目を向けてみると、仕事において疲労するとは、その人が精神的なエネルギーをうまく仕事上に活かせていないということが判明したりするのだ。 

彼女は彼女のエネルギーを上手く活用できていないということが僕には分かっている。僕にそれが分かるということには、それなりの根拠があるのだけれど、それを述べようと思えば、Yさんの個人的な事柄にもっと踏み込まなければならなくなるので、ここでは書かないことにする。 

 ああ、随分、長く書いてしまった。書くには書いたが、読む人なんているのだろうか。今日もまた、説教くさくて、長ったらしくて、くだらんブログを作成したものだ。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー 

 

 

 

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