3月28日:Yさんと夕食 

3月28日(水)Yさんと夕食 

 

 今日は予定の仕事を終えると、Yさんと食事に行く予定をしていた。梅田で待ち合わせをして、そこから串カツ屋に入ることにしていた。これはYさんのリクエストである。女性というのは不思議なもので、立ち飲みの串カツ屋なんかに一回行ってみたいと思うらしい。呑み屋の女の子もそういうことを言っていたのを覚えているし、一度一緒に行ったことがある。もちろん15年くらい前の話だ。 

 串カツであるが、彼女なら5~7本くらい食べたら上等だと思っていた。そんなにたくさん食べられるものでもない。他のメニューを混ぜながらならまだしも、基本的に揚げ物メインで、サイドメニューなんてほとんどないという店だ。しかし、まあ、僕の予想の甘かったこと。Yさんはそれよりもはるかにたくさん食べた。僕よりたくさん食べた。よく入るなと感心したよ。 

 最近、思うことがある。年若い娘さんに対して「色気より食い気」などと言うが、それが年頃になると「食い気よりも色気」になってくる。でも、女性が更に年を経ると、再び「色気より食い気」に戻るようだ。先日、会った「姉さん」も然り、以前付き合っていた女性友達もそれは然りである。確かに、色気で食っていけるわけではないから、それも当然かもしれないな。 

 食べ終わって、僕は少々胃が重たい感じがあったけれど、彼女は平気なようだった。それから梅田の喫茶店でお茶をする。一緒にお茶をするのはこれまでに何度もあったけれど、時々、会話が滞る時がある。対人恐怖の人はこういう場面が辛いのかと理解できたね。話すことがなければ黙っていればいいって、ゆっくり話題を考えればいいって、僕なんかは思うのだが。 

 でも、Yさんはそういう時に隣の人や向かいの人のことを話題にするので、あれはちょっと僕にはしんどいな。なんだか他人の噂話をしているようで、それは僕の趣味には合わないな。僕が言うのもおかしな話ではあるが、彼女と会話していると、彼女が会話の乏しい家庭で育ったのだなということが何となく理解できる。だから、これからも彼女とは会話をしていこうと思う。 

 それから帰るのだけど、梅田はともかく人が多かった。あれだけ人がいて、一人一人に抱えている歴史があり、「病理」があるかと思うと、僕は気が滅入るね。楽しそうにしている人たちもたくさん見かけたけれど、本当に幸福に生きている人がどれだけいるだろうか、僕は疑問に思う。ちょうど歓送迎会シーズンなので、団体をよく見かけたように思った。新生活を始める人たちもおられるのだろうな。 

 それから高槻まで帰って、彼女のマンションまで送って、そこで別れる。梅田の喧噪が嘘のように、高槻は森閑としていて、僕は淋しいような気分になった。夜11時くらいだったけど、夜中の3時くらいの雰囲気だった。人がほとんど歩いていないという状態だった。なんだか無性に侘しくなってきた。賑やかなのは一部だけで、後はけっこうひっそりとしているものかもしれない。人の生もそんなものかもしれないな。昨日と今日、Yさんは僕と会ったけれど、また明日からの5日間は淋しい毎日を過ごされるのかもしれない。お互い、明日からの5日間をしっかり頑張って、6日目にまた会おうと確かに僕は約束したのだけど、そんな風に約束したくなったのも自分でもよく分かるように思う。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー 

 

 

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