3月2日:この世がイヤになる 

3月2日(木):この世がイヤになる 

 

 つくづく世の中がイヤになる今日この頃である。 

 

 一昨日だったか、朝のワイドショーで「チャットGPT」とかいうのがあって、それが今後知的作業を代行していくようになるだろうという話をしていた。あんなものが登場したら、それこそ人間から労働が失われるというものだ。 

 僕も工場でバイトしているけれど、その仕事はもはや以前のイメージとは異なっている。僕が操作するのは、また他の工程の人たちが操作するのは、すべてパソコンのキーボードである。仕事場は工場であっても、オフィスでパソコン仕事をしているのと変わらない環境がすでに出来上がっているわけだ。そういう時代になっているのだ。 

 それが今後さらに変わってくるだろう。小説もレポートもそれで作成できるというのだ。AIの作った小説なんて読む気にもならんわ。 

 

 キシダ政権は異次元の少子化対策を打ち立てている。「異次元」というのも訳の分からん形容詞だ。子供にかける経費を倍増するということらしいが、何が「倍」なのかは不明であるそうだ。だから「倍増」というのは、字義通り受け取るのではなく、あくまでもイメージとして受け取る方が無難であるようだ。 

 しかしながら、少子化には少子化になるまっとうな理由があるもので、そこを取り上げずに、支援だけ倍増しようという議論のようにも僕には見える。 

 子供が生まれないのは、夫婦に余裕がないというだけでなく、夫婦が成立しないためである。結婚しないとかできないとかいう人も多いし、結婚しても破綻する夫婦も多い。加えて、子供は夫婦の未来につながるのであるが、もはや子供からそうした意味合いが喪失しているかもしれない。夫婦は自分たちの未来を描くことが難しいかもしれない。 

 従って、少子化に取り組むとするなら、もっと前の段階のもの、他の領域のことにまで踏み込んで取り組まなければならないのであるが、その辺りがあの政権にどこまで見えているのか不明である。 

 いずれにしても、一方では知的労働者が減少する可能性が謳われているところで、子供を産みましょうなどと言われても素直に受け取れないのではないかという気もする。子供ができても、その子の将来がどうなるか分からない、その子に仕事が与えられるのだろうか、そんな心配が生まれるとなおさら子供を産むことに抵抗が生まれるかもしれない。 

 

 キシダ政権が議論していることに防衛費の増大ということがある。僕には戦争をやる気が満々のように見える。この議論と少子化対策の議論とが続けて報道されると、国は戦争のために人員が欲しいのだ、というふうに見えてしまうのは僕だけだろうか。将来の兵士のために子供を増やそうという意味に見えて仕方がないのである。 

 

 国会に出ることは議員の仕事なのに、その仕事を放棄している議員もいる。ガーシー議員だ。NHK党の議員なのだが、あの党は本当に変わった人間が多いなと思う。ガーシーが当選したというのも僕は知らなかったのだけど。 

 ガーシーを見てると分裂気質という気がしてくる。この気質の人は(フェアバーンによると)、与えることは喪失すること、自分が空っぽになることという不安につながるという。そこで、一部の人は「見せる」ことで与えることの代わりをするという防衛手段を取る。しかし、与えることに関する不安が「見せる」ことに付随してくるようになるので、「見せる」という行為そのものに不安が付きまとうようになる。こうして見せること、見られることに関しての不安が生まれるということになる。見られることに関する不安の中には、監視されているとか、見張られているとか、盗撮されているとか、そういった形もある。 

 ガーシー議員は、警察が何か画策していると怯えているようであるが、それは見られることに関する不安と関係しているのではないかという気もしてくる。 

 そもそも、この人は「暴露系」ユーチューバーであるらしい。他人の隠し事を暴露するようなことをしてきたのだろう。それで恐喝まがいのこともしていたようで、そこに警察の容疑があるようだ。それはともかくとして、この人が「暴露系」というのも象徴的である。見るとか見られる(暴露する―される)といったテーマがこの人の言動からプンプン匂ってくるのであるが、そう感じるのも僕だけだろうか。 

 まあ、ガーシー議員なんて知らねえんで、僕にはどうだっていいことだ。でも、こういう人が議員として当選してしまうというのも、世も末という気がしている。 

 

 ガーシーのことなんてどうでもよかった。 

 闇バイトで強盗を働く人も絶えないらしい。「ルフィ」クラスの人が他にもいて、複数の組織があるらしい。さらに「ルフィ」の上の人間がいるとかいう話しもある。まるで007(ダブルオーセブンだ)のスペクターみたいなのがおるということだ。 

 テレビでいくら報道しても闇バイトに手を出す人が減らないというのは、マスコミの力が弱いというわけでもないだろう。報道されればされるほど、それに魅力を覚えるというような人間もいるかもしれないし、「ルフィ」のような人間を理想化する若者もいるかもしれない。もっと心理的な要因がそこに働いているだろうと僕は思っている。 

 闇バイトを通じて犯罪に手を染めてしまう人の中には20代とかの若い人もけっこう多いようだ。この人たちは、結婚して親になる前に、犯罪者になってしまうのだ。これもまた少子化の一因になっていると僕は思う。若い人がまともに生きていけないのである。親にもなれず、結婚もできず、まともに暮らしていくことすら困難な若者もきっと多いだろうと思う。日本は地に落ちているのである。そう思っておく方がいいと僕は考えている。 

 

 再び少子化対策に戻るのだけれど、あの少子化対策は、結婚できて親になった人だけが対象となっている政策であるように思える。だから、どこが異次元なのか分からないのだ。今後、チャットGPTなんかが知的労働領域から労働者を締め出していくだろうということであれば、生まれてくる子供は厳しい世界に生きることになるのではないかと思う。 

 話が振り出しに戻ったので、ここまでにしておこう。おそらく、延々と循環して話すことになりそうだ。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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