3月18日:幻想に頼らないこと

3月18日(日)幻想に頼らないこと

 

 今日は仕事の方は臨時休業している。家庭の事情で出かけることになっていたからである。来週も再来週もそれで日曜日を休まなければならない。クライアントや僕に用のある方々には幾分迷惑をかけることになるかと思う。

 今日も飲酒欲求に襲われていない。葛藤がないと、作業に集中できる。活動性が甦ってくる。朝の五時に起きて、それから家を出る。出てからは割とバタバタする。その後夕方の5時過ぎくらいに職場に顔を出す。そのまま8時まで資料の整理をしたり、大掃除をしたりして過ごす。帰宅して、本を読み、原稿を書いて過ごす。一日フル活動だが、疲労感はまったくない。忙しすぎて、タバコを喫う暇もなかった。これはホントの話である。昨晩の11時から、夕方の5時までの18時間、一本も喫っていない。そして、今晩の8時から明日の朝8時までの12時間を、再び禁煙タイムとしている。禁煙の葛藤が新たに生じているが、飲酒の葛藤がない分ましである。そして、葛藤が一つなくなると、心がより軽くなる感じがして、活動性が増すのである。ああ、僕が体験しているこの感じをどのように伝えればいいか。

 多くの人は間違ったことをしているのである。葛藤をそのままにしておいて、身体のコリをほぐしたり、サプリメントを服用したりするだけという人が案外多いのである。それでも身体が楽にならないとか、気持ちがすっきりしないとか、元気が出ないとか言って嘆いているのである。それもそのはずで、その人から活力を奪っている葛藤がそのまま心の中に存在しているからである。その葛藤をそのまま手つかずで放置しておいて、楽になろうと望む方が、僕から見ると、愚の骨頂である。尚悪いことには、そういう葛藤を抱えていることすら自覚できていない人も多いものである。

 僕は酒呑みであった。酒を呑むのは、僕がかつて手に入れていたもの、所有されていたもので、既に失われてしまっていたのを、たとえ幻想の上であっても、取り戻したかったからなのだ。いや、酩酊の幻想の上では、それは確かに僕の元に戻って来ていた。酔いから覚めると、僕はそれを再び失う。僕はそれを繰り返してきたのだ。具体的に書かないので何のことやら理解できないかと思うけれど、いずれ機会があれば詳しく書いてみたいと思う。そして、今ではそういうことがよく見えている。僕は大切なものを失った。この事実は変わらない。でも、それに代わるもの、それと同じくらい大切なものを僕は今では手に入れている。これがあるお陰で、僕は幻想に頼らなくなってきている。そして、葛藤を解消するというのはこういうことなんだなあと、よく理解できるようになった。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー

 

 

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