3月16日:50万円の商品 

3月16日(木):50万円の商品 

 

 今日はそれなりに仕事が入っていた。朝から忙しかった。新規のクライアントもお見えになられた。いいことだ。 

 パソコンが重いので、データをかなり外部に移した。面接の録音も溜まっていたが、ディスク5枚分ほど移動させ、パソコン内のものは消去した。その他、不要なデータなども消去して、容量を空けた。 

 パソコン作業をしている間は、昨日に引き続き、ずっと立ったまま行う。夕方、少しだけ外出したが、その時は足が軽かった。当分、これを続けることに決める。 

 夜、時間が空いている。ここで今日の勉強を済ませてしまおうと思ったが、あるIT業者から電話があり、これに1時間近く取られてしまった。 

 

 僕はIT業者をとことん疑う。もし、彼らの案内する商品やサービスがあまりに良いものであれば、なおさら、僕は疑う。そんなにいいものであれば、他所がすでに契約しているはずである。高槻の、こんなローカルなところで営業しているところにその話が来るはずがないと僕は信じているし、もし、そういうのが来たとすれば、それは本当は誰も買いたがらない商品なのだと思う。誰も買い手がつかないので、巡り巡って僕のところに辿り着いたのだと思う。 

 彼らの話が本当なら、なかなかいいサービスである。これを月々2万円でできるとなれば、確かに安い。 

 しかし、蓋を開けてみれば、彼らは月々2万円のサービスを提案したのではなく、総額50万円のサービスを提案したのだ。月に換算すると2万円というだけである。一括で50万円払えなんて、それならもっと大手のところにこの話を持ちかけるべきだ。 

 僕は最初から金の話をしていたのだ。ずっと月々2万円の支払いだと思い込んでいた。それくらいならなんとかなるかなと思い始めていた。ところがだ、最後の方になって、支払は一括でなんて話をされるから困ったものだ。 

 彼らは50万円のサービスを提案したのだ。月々2万円のサービスでも、一日670円のサービスを提案したのでもないのだ。ただ換算しただけの金額を彼らは提示したのであるが、聴いている方はそのようには受け取れないのである。 

 ああ、実にくだらないことに時間を費やしてしまった。こんなことなら、電話が鳴っても無視して、勉強している方がましだった。 

 

 もう今日はなんもする気にならんなあ。酒でも飲んでこようかしら。酒を控えようと考えていたけど、こんな気持ちの時は、間違いなく酒に手が出る。まあ、いいことにしよう。人間、自分に甘いくらいがちょうどいい。 

 おっと、思い出したことがある。よく「自分に甘く、他人には厳しい」と評価される人がいるが、あれは間違っているね。他人に厳しい人は自分自身に対しても厳しい基準を設けるものなのだ。ただ、自分がその基準にとても達することができないだけなのだと思う。従って、その人は自分に甘いのではなく、自分を断念しているだけなのではないかと思う。自分は「厳し過ぎるから無理だ」と言って断念しているのに、他人が断念することは許さないのである。そういうことではないかと最近思うようになった。 

 自分に甘いというのは、自分自身に対して母性原理で関わっているわけだ。ここには何も断念しなければならないものなんてない。だから自分は何も断念しなくていい。そして、ここが重要なのだが、自分自身に母性で関わる人は、他人に対しても母性原理を発揮するものだと思う。 

「自分に甘い方」と「自分に厳しい方」、そのどちらがいいですかと訊かれたら、僕は間違いなく「自分に甘い方」と答える。まあ、どうでもいい話だ。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

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