2月4日:女は時間がかかる?

2月4日(木):女は時間がかかる?

 

 オリンピック委員の森会長が失言したとか。テレビでやたらと言っている。「またか」と平然として聞いている僕がいる。もうそんなことでいちいち驚かなくなっている。僕の感覚もおかしいことは認めるけれど、そこまで無感覚になるほどありふれた話になっているってこともおかしいものである。

 失言の内容は女性に関するものであるらしい。会議に女性が参加していると時間がかかるとかなんとか、そんな内容のことであるらしい。発言の内容を全部、前後の文脈も踏まえて評価しないといけないことなんだろうけれど、どうも事実の表明というよりは森会長の個人的な解釈の表明であったように思う。

 まあ、でも、分からんでもない。みんなで何か決めるという時、男ばっかりだとすんなり決まることが多く、女がそこにいるとなかなか決まらないということも確かにある。それに付き合えるかどうかで男の価値が変わってくるものだと僕は思っている。それに、そういうことは心の中で思っていても、あんまり口に出して言わない方がよろしかろう。

 この森会長の失言は海外でも話題になっているそうだ。日本の印象がまた悪くなったんじゃないかと思うし、オリンピックも絶望的になったんじゃないかと僕は思う。海外の選手もますます日本には来たがらないってなるかもしれない。

 もし、会議が長引くのだとすれば、一旦そこで終了して次回に回せばいい。時間の制限もあるだろうからそれはしてもいいことだろう。その時に、例えば、会議をスムーズに進めたいので発言する人は内容をまとめておいてくださいとか、そんな要望を出すのも間違ってはいないだろう。女性が活発に発言し、積極的に議論に参加しているというのであれば、それはそれで望ましいことではあるだろう。森は何に腹を立てていたのだろう。その場のことが分からないと何とも考えようがないものだ。

 まあ、もうどうでもいいや。

 

 さて、女性とデートしているとしよう。レストランに入ってランチにしようということになったとしよう。メニューを開く。男はさっさと自分の注文を決めることも多いだろう。女性は、何にしようかなあなどとあれこれ悩んで、なかなか決まらないとしよう。

 こういう状況だと、「はよ決めえ」とついつい男は言いたくなるかもしれない。でも、このシチュエーションはそんなに悪いものではないかもしれない。男はもっと喜んでいいかもしれない。さっさと決めて、さっさと終わってしまうことに彼女は抵抗しているのかもしれないからだ。楽しい時間は長引かせたいといった気持ちが働くかもしれないのだ。

 もし、この男性のことが嫌いであるといった場合だったら、この女性はさっさと注文して、さっさと食事を済ませて、この苦痛な時間を最大限に短く切り詰めようとすることだろう。

 もし、あなたが男性で、気に入った女性をお酒に誘おうとして、食い下がるとしよう。一杯だけでも付き合ってなどとあなたは彼女にお願いする。彼女はあなたの押しに負けて、じゃあ、一杯だけねと了承する。それであなたはおしゃれなバーに彼女を連れて行く。そこで、彼女がさっさと飲み物を注文して、キューっと一気飲みして、じゃあ、さよならと、彼女があなたを残して店を出て行く。あなたは彼女から相当嫌われておるわけだ。

 男性の前で女性が時間をかけること、これは案外悪い意味ではないかもしれないのだ。「早くせえ」なんて言わずに、「ゆっくりやっていいよ」くらい言った方が好かれるというものだ。僕はムリだけど。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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