2月4日(火):休日のニヒリズム
今日は休みだ。図書館に本を返しに行く。
この一週間は少し忙しくて、借りた本も全部読めないまま返却する。三冊借りて、そのうち一冊は全く手つかずのままとなった。まあ、いいか。また借りればいいんだ。
図書館で本を借りるのも案外いいものだなと思う。個人的には本は手元に置いておきたいし、折に触れて読み直したりとかもしたい。しかし、本の数が増えると結構な場所をとってしまう。それが難点だ。
それはさておき、昼前くらいに家を出る。早めに昼食をとっておく。途中でお腹が空かないようにだ。
最寄りの駅から河原町駅までは電車を利用するが、後はすべて徒歩となった。足が心配だったけれど、問題なく歩けた。
図書館では、ジャネの本を探してみようと思っていた。書架には並んでいない。検索する。おお、あるある。少しテンションが上がる。手当たり次第に読んでやろうかという気持ちになる。
とりあえず、今回は一冊だけにする。また読まずに返却する本が出ないようにだ。ジャネの『心理学的自動症』を借りる。僕の記憶が確かなら、ジャネの最初の著作である。
係の人に頼む。奥から持ってきてくれる。なんと、こんな分厚い本だったのか。500ページ近くある。少しテンションが下がる。
それでも一応借りて読むことにする。と言っても、この本を直接読むのではなく、全ページコピーして、コピーした方を読む。
まあ、帰るまでに第1章をコピーして、帰宅後に読んだのだけれど、面白そうな内容である。再びテンションが上がる。
さて、駅から図書館までの往復を歩くと少々腹も減る。軽く何か食べようかと思ったが、いやいや、太ると思い、諦める。
疲れたからどこかでお茶でもと思ったが、いやいや、お小遣いが減ると思い、諦める。
脂肪減らして小遣い減らさず。そのために今日は歩いたのだ。しかも、そのために古書店とか誘惑の多いエリアを迂回したのだ。初志貫徹といこう。
外を出歩いて、外食無し、お茶無し、当然ビールも無しだ。なかなか健康的である。しかし、どういうものか、健康的なことをすればするほど空しくなってくる。あまり長生きしたくないという気持ちがあるためだろうか。自分の気持ちと正反対のことをすることからくる不快感かもしれない。
いやいや、違うな。この空しさは、この生活が今後とも不変のまま続くという観念から生まれたものだと思う。不幸とか絶望というものは、将来が不変であるというところから生まれるものだと思う。一切の変化が見込めない状況では、どの人もいかなる希望も持てず、幸福に憧れることもできない。そういうものではないかと思う。
この将来が不変のまま、このままずっと続くという観念は、言葉で言い表せば「どうせこんなもんだ」といったところだろうか。ニヒリズムである。僕のニヒリズムが顔を出しているのだ。これこそ戒めないといけないな。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)