2月10日(金):断酒13か月
今日で、断酒が13か月継続できたことになる。この一か月は危なかった。気が緩むと、呑み屋に入ってしまいそうになる。そういうことが何回かあった。今の僕は呑んだらお終いである。
前にも書いたかもしれない。周りの人は「一回くらいいいやん」とか「少しくらいやったら大丈夫だろ」などと言うものである。彼らは別に悪気があって言うわけではない。彼らは単にアルコール依存について無知なだけである。
確かに、その時は「一回くらい」「少しくらい」で済むのである。しかし、その後に強い飲酒欲求が甦るのだ。過去に僕が断酒に失敗したのはそのためである。ノンアルコールのビールだったらいいかと思って手を出すと、その時はそれで収まるのだが、その後がいけない。また呑みたくなって、最後にはアルコール入りのものを呑むようになるのだ。本当は、「ノンアルコールだったらいいか」という気持ちを生じさせたモノに目を向けるべきなのだった。今の僕にはそれが理解できている。
毎月、10日の日付のブログは「断酒○か月目」という内容のものが来る。熱心に読んでくれている人の中には「またか」と、いい加減に辟易なさる方もおられると思う。でも、僕にとっては、毎月10日は記念日なのである。だから、忘れないようにも、書いて残しておきたいのだ。
酒を呑まなくなると、お金を使わなくなる。これはかなり実感できている。酒代ももちろんだし、ツマミ代や、〆の何かというものもなくなる。家で呑む場合でも、グラスやコルク抜きとか、あるいは徳利とお猪口とか、そういう酒呑み関連のグッズを買わなくても済む。さらに、ウコンだの胃薬だの頭痛薬だのというものとも無縁になる。酔っぱらって転んで、ズボンに穴を開けたとか、そういうのもなくなる。しょうもない(と言うか、理由のはっきりしない)怪我なんかもしなくなる。サウナに入って、身体の中に蓄積されている余計者を絞り出すというような習慣もなくなる。いいことづくめだ。
断酒は身体にもいい。まず、痩せたということがある。それから体がだるいとか、肝臓がしんどいとか、二日酔いで頭が痛いとかいうのもなくなる。胃のもたれや吐き気も体験しなくなった。だから如何なる薬とも今は縁がないのである。
時間にもまた変化が起きた。以前は20時から24時までを、僕の酒呑み時間としていた。その4時間、今では本を読んだり、書き物をしたり、映画を観たり、ピアノ(キーボード)を弾いたりということをしている。今までよりも時間があるように感じられているし、充実感もある。
失ったものがあるとすれば、それは何だろう。せいぜい、酒呑みの友達くらいだ。まあ、それは失っても構わない。酒を止めた途端、友達が一人もいなくなったというのは、何とも情けない話であるが、酒でつながらない友達もでき始めている。また、しょうもない世間話をする場面がなくなったけれど、その分、このブログで書いている。どうやら、得るものは多く、失ったものは何もないようだ。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)