12月30日(土);仕事納め
今年は今日が仕事納めとなる。
いつも土日に来るクライアントたちだ。そのうち、一人は昨日来られた。もう一人は予約されなかった。
そういう事情もあって、午後から空き時間が生じる。その時にサイトの更新をしようと決める。サイトとブログで20数件の原稿がある。一挙公開といこう。
ところが、パソコンをネットに接続して、サイトページを開こうとしたら、どういうわけか開かない。パソコンが重くなっているのかと思い、一度、動くまで待ってみる。接続がリセットされたというメッセージが出る。
なんでか訳が分からない。スッと接続できるページもあれば、なかなか開かないページもある。開かないページでも、何度も繰り返していると、微妙に開くが、最後まで開かない。
セキュリティを更新してみたり、パソコンを再起動させてみたりと、いろいろやってみたが、あまり変わらない。
夕方のクライアントを終えて、ダメ元と思いながらも業者に電話してみる。案の定、休業している。電話番の人に繋がったけど、担当の人に連絡してみるということになった。もっとも、その人にいつ繋がるかもわからないし、いつこちらに連絡が入るかも分からない。
しばらく待つが、もう、どうでもよくなる。来年になってもいいやと投げやりな気持ちにもなる。
それで職場を後にする。今年の仕事納めが、トラブルで終わるっていうのは、いかにも象徴的だ。今年はトラブル続きの一年だった。このことは明日、書こう。
夜。ムシャクシャしてるので、酒でも飲みに行こうと決める。
居酒屋に入る。ああ、年末という感じだ。団体客が多く、賑やかである。瓶ビールを注文する。最初はよかった。飲み干して、もう一本注文する。すると、店員さんがやってきて、瓶ビールが冷えていないけどどうするか、と訊いてきた。冷やすのが追いつかないということだ。僕は常温でいいから持ってきて、と答える。
冬場なので、常温でも多少はヒンヤリしているけど、やはり物足りない感じがした。これもまたトラブルだ。
その居酒屋に居ても、冷えたビールがないのなら、店を換えようと決める。それでいつものバーに行く。
バーでは、最初は気持ちよく飲んでいた。そのバーで数年前まで働いていた女性が来た。男性客と一緒だった。
この女性はかわいらしい人で、僕は好きだった。いつの間にかお店を辞めていったのだ。今日はこの男性客(僕は親しくはないけど、よくこの店で顔を見かける人だった)が誘ったのだろう。会話を聞いていると、さほど親しくない者どうしという感じだ。
なんか、つまらなくなってきた。僕はこの女性がどうしているかなと気になることがよくあった。というのは、彼女の勤め先が閉業したということを聞いていて、それがあって夜の仕事も辞めることになったからである。それから音沙汰なしだった。
彼女も大人なので、自分の人生をなんとかやっていくだろう。元気そうなのは良かったことだ。一応、僕のことも覚えていてくれたので、それも良かった。彼女のことも心配することはなかったのだ。まあ、僕が勝手に心配していただけなんだけど、余計なことをしてきたと感じ、空しくなってくる。
バーを出る。タバコを切らしたので、買いに行く。その道中、ああ、あのY君に遭遇する。一番、会いたくない人だ。
彼の方が僕に気づいて、声をかけてくる。これは決して仲がいいとか親しいからとかいうことではない。彼が退屈しているだけなのだ。相手になってくれそうな人だったら誰でもいいってことだ。たまたまそれが僕だったというに過ぎない。
面倒だ。ちょっとだけ付き合って、後は逃げようと考えていた。コンビニで缶ビールを買い、それをその辺で飲む。奴は道行く人に声を掛けたりするから厄介なのだ。道行く人は相手にしないけど、こちらに視線を投げかけたりされると、僕はたまらなく恥ずかしくなる。こんなのと付き合っている自分もイヤでイヤでたまらなくなる。
結局、Y君を撒くタイミングもなく、おまけに寒いので、僕の行きつけのもう一軒のバーに入る。奴がバーテンダーをつかまえてウダウダやってくれている。束の間の安堵が僕に訪れる。その間に、どうやって撒こうかということばかり考えている。
一杯ずつ飲んで、金を払って、出る。Y君を先に表に出して、店の人に年末の挨拶をしておく。それから店を出る。Yがいない。この隙に駅に向かおうと思う。
ところが、路地のところでYが待っていた。ああ、最悪だ。僕は帰るからと言って、駅に向かう。道中、Yが「小便したい」と言うから、「その辺でタレてこいや」と僕が答える。彼がその辺で立小便している間に、これこそ天が与えてくれたチャンスとばかりに、僕は彼を置いて駅に急ぐ。どうにかYを撒くことに成功する。
疲れた。帰りの電車で、いつもなら立つのだけど、つい、座ってしまう。眠ってしまう。ギリギリのところで寝過ごさずに済んだ。
なんだか、今日一日、不完全燃焼だ。シメにラーメンを食って帰ることにする。ああ、ここも一杯だ。客が多い上に、レジで待たされる。これまた一つのトラブルである。
トラブル続きの一年だったけど、最後までトラブル続きだった。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)