12月24日(木):「兄と新店の夢」
<夢>「兄と新店の夢」
僕は閑静な住宅街を歩いている。何かの帰りだったと思う。坂道を登っていて、山の手の街という感じだ。
そこで兄と会った。兄はもう一人僕の知らない男性と一緒だった。何をしているのかと訊くと、兄は新しい店をこの町に出したと言い、この男性は一緒に仕事をする相棒だと説明した。
兄たちが店に行くと言うので、僕もついて行った。でも、長い坂道を上ることに疲れてしまって、僕はこんな高い所に店を出して人が来るのかと呟いた。兄にはそれが聞こえたらしく、大丈夫、何とかすると答える。
僕は疲れたので、また今度にすると言って、兄たちと別れた。
<連想と感想>
このところ運動不足なので、歩かなアカンなあと思っていた。現実には忙しくて歩きに出るヒマが持てないので、その分、夢で歩いたという感じがしている。
街歩きテーマの夢だが、半分、山歩きも混じっている。
閑静な住宅街。夢に出てきたのはいささか高級感溢れる家々だった。上流社会という感じがした。憧れる気持ちはあるけれど、個人的には好きではない。もう少し賑やかで生活感が感じられるくらいの方がいいと思う。夢の住宅街は静かすぎるのだ。
兄と相棒。兄らしい感じがする。兄はこういうパートナーを必要とする人だと僕は思っている。それで上手くやれるという人もあるので、そこは否定しないのだけれど、僕には時々兄が人に頼りすぎるように見えることがある。
坂道を登って行く。つまり高い所に行こうとしているということ。僕はこれは「思い上がり」につながると感じている。「思い上がり」とは現実の自分よりも高い所に「思い」だけが上がっているということなので、言い換えると、現実の自分がついていくことができていない状態ということだ。僕にも多少はその傾向があることを認めるのだが、兄にもけっこうそれがあるように思う。
兄は相棒とともにさらに高い所へと上がって行く。僕は途中で止める。それ以上高みに上がることを断念する。僕はここで兄と決別する。
長年、兄弟葛藤を僕は抱えていた。兄はずっと高い所の存在だと感じられていた。僕が10代の頃は、兄よりも高い所に行こうと努めた。いささか頑張りすぎたのだ。いくつかの分野で兄と同等かそれよりも高い所に達したと体験できた時、当時の僕はそこで人生が終わってしまったように感じられた。今から振り返ると、随分、不毛な時代を送ったものだと思う。
夢は静かにこの葛藤が終わることを告げているかのようだ。例えば、戦場で兄と会うという夢だったら、こんなふうには思えないだろう。静かな住宅街で、僕は静かに兄と袂を分かつ。それでいいという感じがしている。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)