12月14日:男と女

12月14日(水)男と女

 

 僕は男性なので、やはり女性が好きである。最近、ある男性クライアントが、何のために女性と付き合うのか分からない、人がなぜ結婚するのか分からない、独りで生きて何がアカンのだというようなことを話された。彼の考え方なので、それはそれで尊重するのであるが、僕はそのような考え方はしていない。

 僕が女性を好きなのは、僕が同性愛者ではないからというだけでなく、女性が性欲を満たしてくれるからという理由でもない。女性が常に何かを教えてくれるからである。男性と女性とは、やはり決定的に違う部分があると僕は感じている。男性が有していないものを女性は持っているのであり、男性は女性からもっと学ぶ必要があると僕は捉えている。同じことは女性の側にも言えることである。女性にないものを男性は有しているから、女性もまた男性から学ぶべきである。自己の完成には、異性の協力が必要なのだと僕は理解している。異性と交際すること、あるいは結婚するということは、お互いの完成を目指す行為であり、極めて創造的な行為だと僕は考えている。

 クライアントには、当然、男性のクライアントもいれば、女性のクライアントもいる。男性クライアントとは理解し合えるという感覚を覚える。でも、女性クライアントからは教えられるという感覚を体験する。女性は何かを教え、もたらしてくれるものだと僕は捉えている。その教えは、僕に欠けていたものを与えたり、僕が気づいていなかったことや見えていなかったところに、改めて注意を向けさせる。男性との関係で、こういうことはほとんど経験しないことである。

 僕は女性とはあまり縁がなかったと、若い頃は信じていた。大学生の頃、友達と酒を呑んでいて、何かのゲームでもしたのだと思う。負けたら、その居酒屋の前で佇んでいる占い師に見てもらうという罰ゲームが設定された。こういう時、僕は負けるのである。それで、罰ゲームで、僕はその占い師の前に立った。そこで、僕は「なぜ彼女ができないのか占って欲しい」と伝えた。占い師は、ペンライトで僕の顔を照らしたり、手相を見たりする。そして、僕に彼女ができないのは、僕の前世が女性関係で問題を起こしており、その罪を現生の僕が担っているのだと言う。「???」である。それで僕は「じゃあ、どうしたらいいのですか」と占い師に尋ねる。すると占い師は、女性に優しくすること、挨拶をすること、進んで接することなどをくどくど僕に助言した。いやいやそうじゃなくて、それじゃ前世云々の話はまるで関係がなくなっちゃうじゃないかと思うのであるが、占いとはそんなものなのだろう。僕の前世だった人物が何をしていようと、現在の僕と直接かかわりを持っているわけではないのだから、そんな人は無関係に等しいと僕には思えるのであるが、いかがなものだろうか。

 まあ、その占い師はそんな占いをしたのであるが、結局の所、そんな占いはまるで当てにならなかったのである。因みに、占いを終えた後、みんなが申し訳なく思ったのか、僕に酒を奢ってくれたのを覚えている。振り返って見ると、前世の罪を引きずっていようといまいと、僕は十分女性と縁があったと思っている。そうした体験も今後、機会があれば述べてみたいと思っている。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー

 

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