11月3日(日):セブンのユーレイ
僕はセブンイレブンとローソンとで深夜バイトをしている。今日はセブンでのことを書こうと思う。
これは前々から生じていたことなんだけれど、下手なことを書いて、ミョーな噂が広まったりするのを懸念していた。だからこれまで誰にも言わずにいたことなのだ。もう、あのセブンにも見切りをつけたいと思っているので、書いてやろうと思う。
それと、もしかしたらこれは僕だけが経験していることなのではないかとも思っていた。他の人たちにとってはそんなことはないのかもしれない。でも、今朝、早朝勤務の人と話をしていて、その人も同じ経験をしていると知って、僕は安心した。ああ、僕だけではなかったんだ、と。そして、そのこともまた、これを書くことを後押してくれたわけだ。
あのセブンには何かおるんだなあ。そして、何か出るんだなあ。以下のようなケースを僕は幾度か経験している。
①「すみませーん」と呼ぶ声がするので、僕が返事をしてレジに行くと誰もいなかった。
②ほかに誰もいないはずの店内で人影が見える。お客さんがいないと思って油断していた僕は慌てて店内に入ることもある。でも、誰もいない。
③トイレの洗面所に鏡があるんだけれど、その鏡にスッと横切る影が見える。やはり誰もいない。
④誰も触っていないのに、棚の上の商品が落下する。
早朝勤務の人は①を経験している。女性の声だとその人は言う。確かにそうだ。僕の場合もやはり女性の声が聞こえる。
②と③は黒っぽい服を着ている。一瞬のことなので性別までは不明だ。黒っぽいというのも服装のようでもあるし、影のようでもあるのでなんとも言えない。
④は自然現象とも言えるので、最初は除外していたのだけれど、一応、不気味ではあるので、4番目に入れておくことにした。
この店、深夜は一人勤務だ。深夜の丑三つ時なぞに一人でいると、ミョーな感覚に陥る時がある。作業に集中していると気にならないが、作業がひと段落ついてホッとした時などにそれが起きるので、僕は外に出たくなる。
外に出て、ふと店内を見ると人影が見えたりする。ありゃ、いつの間にお客さんが入ったんだと思い、慌てて店内に入ることもある。見ると誰もいなかったりする(たまに本当にお客さんが入っていたりする)わけだ。
やはり、あの店にはなにかおる。きっとユーレイだな。それも一人じゃなくて、何人もいそうだ。そういうのが店内にいっぱい漂っているのじゃないか。
この店の前は大通りの交差点だ。交通量も多い。事故なんかもよく起きる。もしかすると、この店に買い物に来る途中で交通事故に遭い、亡くなった人がいるのかもしれない。ユーレイになってでも買い物に来てくれるというのは、店としてはありがたいことであるが、あまり店員を怖がらせないでほしいものだ。
ところで、僕が思うに、霊感とか第六感というのはどの人にも備わっているものだ。これといった理由もなくミョーな胸騒ぎがするとか、初めて来る場所なのに馴染みがあるとか、理由もなく怖いとか、そんな経験をすることが誰にもあると思う。
それを霊感とか第六感とかみなさないことも多いだろうし、そもそもそういう経験に気づかなかったり、すぐに忘れてしまうなんてこともあるだろう。
時に、そういう経験に対し、合理的な理由付けをして、それで自分自身を納得させて終わるなんてこともあるだろうと思う。
僕も霊感は人並みにあるだろうと思っている。それほど霊感が強い(これもおかしな表現だ)というわけではないけれど。でも、僕はユーレイは見えない。それだけはありがたいことだ。あまりユーレイさんとはお会いしたくないと思っている。
ところで、僕が霊感なんかの話をするのは意外に思われるかもしれない。でも、僕には興味がある。いわゆる霊感というものは心の状態と関係があると僕は思っている。あまり一般化して言うと語弊もあるかと思うのだけれど、ある種の心の病の人は霊感が強くなると僕は思っている。僕も若いころには不思議な体験をしたことがある。心の状態とそのような体験とは相関性があると今でも僕は思うのである。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)