11月21日(月):健康診断
今日は半日休みにしている。というのも、工場のバイトの方で健康診断を受けなければならないからである。
この健康診断のためだけに工場に向かう。面倒だけれどしょうがない。健診は法的に義務づけられているのだから、これをしないと今後のバイトができなくなってしまう。
それで昨夜から絶食していたのだけれど、朝は空腹すぎて気分が悪いほどだった。何か食べたいと渇望する気持ちと、健診が終わるまでは食べてはいけないという気持ちとが僕の中で相克していた。
とにかく、家にいると何か食べてしまいそうなので、少し早めに家を出る。外に出て、外を歩いている限り、空腹感が紛れるだろうと思った。
最初は順調だった。コンビニでタバコを喫ったが、空腹時の喫煙だけに気分が悪くなってしまう。それでも外に出たのは正解だった。駅に向かう。このまま順調に工場まで行けばなんとかなるだろうと思った。
ところがである。電車がまさかの遅延である。7~8分程度の遅れだったのだけれど、その間の長かったこと。ベンチに座って待つも、空腹を意識してしまう。
工場に着く。予定の時間よりも早く着いたが、健診はすぐに始まった。体重・身長、検尿、血圧、視力と検査を受ける、視力検査の時には幾分ボーっとしてきて、指示をきちんと聞いていなかった場面があった。
その後、心肺、眼窩、胸囲測定、などを経て採血へ。それで終了となる。所要時間は30分くらいだっただろうか。
健診会場を後にする。工場の事務員さんが声をかけてくれたので、できるだけ愛想よく返事をしておく。好印象は与えておかなければならない。と言っても、健診が終わったことで僕の機嫌も良くなっていたのだけれど。
その後がたいへんだった。歯科検診を受けなければならなかった。近所の歯科医院に行くのであるが、場所がよく分かっていない。
とりあえず、健診会場から歩いて大通りを横切り、閑静な道路に入る。実はそこでタバコを一服したのだ。リュックから封筒を取り出し、書類を確認する。記入欄があって、どこで記入するかも考えなければならない。それよりも、その歯科医院を検索しなければ。
スマホで検索する。大体の場所を把握すると、とりあえず現地の方に向かって歩き始める。グーグルの地図だと少し路地に入るのかなと思ったけれど、なんてことはない、大通りに面していて、立派な看板を掲げている。午前の診察時間がもうじき終わりそうだ。僕は明日受けようと決める。
駅に向かう。道中のコンビニに寄る。何か買って食べようと思った。その時にリュックを見たのだ。チャックが空いていて、封筒が無いことに気づいた。
えらいこっちゃと思い、急いで来た道を逆に辿っていく。健診会場から出て、タバコを一服したあの路地に落としているのだと目星をつけた。あの時、封筒をリュックに仕舞ったはずなのに、リュックに入れてなかったのだと思った。
なんとなく、気が気でない。そこまで行って封筒がなかったらどうしようかとも思う。急ぎたいのだけれど、今日は足が痛むので、これ以上早くは歩けない。もどかしい思いをしながら、そこまでたどり着く。
あった、あった、封筒が落ちておる。遠目からも見える。封筒が見つかったのでとにかくひと段落ついた。今度はそれを確かにリュックに仕舞う。
さすがに疲れた。空腹の上に、すでに今日は一万歩以上を歩いている。昨日の献血も祟っているかもしれない。そこはマンションかなにかの建物で、植え込みになっている。そこの人たちには申し訳ないけれど、この植え込みの端に腰掛けさせてもらった。クタクタだった。10分か15分くらいそこで休憩したのだと思う。
そこから再び歩いて駅へ向かう。この後、高槻まで出る元気がない。どうしようかと思う。先ほどのコンビニまで着くと、とりあえずおにぎりでも買って、駐車場の端の方で食する。腹が膨れると生き返った気持ちになる。
そうそう、コンビニのおにぎりも値が上がったな、と感じた。一番低価格でも120円くらいする。100円で買えていた品がそれくらいの値段になっている。なかなか世の中厳しいものだ。
コンビニの駐車場でやたらと声の大きな男性がいた。トラックにある会社名から中古品販売店の人のようだ。どうやら洗濯機か何かの修理の件で電話をしているようだ。その声がやたらと耳に響いた。もう少し静かに話してくれんかいなと思った。静かに食事したい気分だった。
そんなこんなで午前中はけっこうたいへんだった。午後から高槻に出るが、こちらはいつものように読み書きして過ごす。午前中だけで体力を消耗しつくした感じだ。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)