11月17日:風邪の意味

11月17日(木)風邪の意味

 

 今日は幾分体調がましになっている。それでも体は重く、時折、頭がぼやける感じに襲われる。十分睡眠をとったのに、それでも眠気に襲われ、眠れるのである。今朝も予定よりも遅刻してしまったのである。

 僕は、この風邪が精神的なものから来ているということを、どことなく実感している。寒気がするというのも、実際に寒いというだけでなく、生活の中に温もりがないということを象徴的に表しているものと思っている。頭がフラフラするのは、考えることを拒否したくなっているのだと、あるいは現実に立ち向かうことに抵抗感を感じているのだというように捉えている。よく眠れるのは、それだけ精神的に退行したくなっていることなのだと思う。

 確かに、先月末頃から、僕はいくつものことに着手してきた。それらに加えて、しなければならない作業や仕事、考えなければならない事柄を抱えているのである。しばらく前から、少々無理がきているなと感じてはいたのである。それらをすべて手放したくなっている、それらから解放されたがっている自分に気づく。

 今日、これを書く直前、つい転寝をしてしまった。その時に夢を見た。僕と飲み友達だったO君と、I君、H君の四人で、僕が昔していた店でアルバイトしようということになった夢である。僕とO君は先に始めていた。店は昔と変わっていなかったが、レジが故障していて、少々不便だった。Kさんが当時からアルバイトをしていて、今でもしているということを知って僕は驚いた。Kさんもまた昔のままだった。

 この夢には、まだ他に細部があるのだが、それは置いておいても、非常に賑やかで、活気にあふれた夢であった。目覚めた時、一瞬、僕は自分がどこにいるのかを見失った。僕は仕事場にいて、空き時間で少し眠ってしまったのだと気づいた。現実に戻ると、僕は夢の中のあの賑やかさが懐かしいような気がしてきた。そして、あの夢の世界に比べて、この現実はなんて寒々しく、殺風景なのだろうと思えてきたのである。この瞬間、僕は僕が体験している寒気の意味を悟ったのである。

 僕は、今回の風邪をひく前頃、別れた女性友達のことが非常に気になっていたのである。くどくど書く気にはなれないが、端的に言うと、僕はああいう風に別れたことを後悔しているのだ。別れるにしても、あんな別れ方をしたくはなかったのである。そして、僕は同じく後悔しているのである。どうしてああいう関係しかお互いに築けなかったのだろうと。たくさんの心残りを残したまま、僕は今日に至っているのである。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー

 

 

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