11月14日:散歩

11月14日(木):散歩

 

 今日は朝から雨。雨の後は気温が下がるとのこと。どちらも憂鬱だ。気分ではなく、膝の方である。朝から膝に違和感がある。このまま痛くなるかもしれないと、そう思うと気分も重たくなるものだ。現時点では、一応、違和感はそのままだけど、痛みの方は現れていない。

 

 今日は夕方以降はフリーだ。予約は入っていない。その時間、ミンコフスキーの『精神分裂病』を読もうかと計画していた。最近、また同書を読み返している。

 そういう予定だったけれど、どうも気が重い。そこで、本を置いて、外へ出ることにした。散歩しようと思い立った。

 外を歩くのはいいものだと、改めて思った。今の僕は、朝、職場入りすると、そのまま一歩も外に出ないというありさまだ。あまり外に出る気分にならないというのもあるんだけれど、外に出る用事がない。ますます出不精がひどくなったかもしれない。

 今日は久々にJRの方まで歩く。大した距離があるわけではないのに、滅多にそっちには行かない。以前とは大きく変わったところはなさそうだ。細かなところはだいぶん変わったんだろうとは思う。

 アルプラザ一階の催事場でしばし時間を過ごす。バッグや財布が安いなと思い、衝動買いしそうになる。僕の悪いクセで、バッグとか財布とかっていのは、限界まで使わないと買い替える気にならないのだ。限界に至るまでに、こういう機会をつかまえては、買い替えをやってもよいのだろうな。

 何も買わずにアルプラザを後にする。そのまま芥川商店街に入る。この商店街はセンター街や城北通りと比較するとずいぶん寂しい感じが漂っているのだけれど、それでも地道に商売をやってきた人たちが多そうな感じもして、僕は嫌いではない。ただ、この商店街で買い物する機会はなく、またお目当ての店があるわけでもない。どうしても接点が持てない商店街だ。

 ありがたい、コンビニの前に灰皿がある。そこで一服。タバコを止めたという人が言っていたな。街に出ても灰皿を探す労力がなくなってラクになったと。でも、苦労して灰皿を探して喫うタバコはまた格別かもしれない。そう思うと、灰皿を撤去することは却って喫煙による満足を高めることになっているかもしれない。

 さて、そこからどこに向いて歩こう。目的もなく歩く。ふと、一時期、Yさんと歩いた道を歩きたくなった。記憶を頼りに歩く。いつだったか、以前も歩いたことがある。その時は間違えることなく歩いたけど、今日は通りを一つ間違えてしまった。もう一つ奥の通りで右折するところを、その手前で右折してしまった。まあ、大したことではない。概ね、以前歩いたコースを歩いた。

 そこからJRの駅まで戻って、後は来た道を帰る。普通に歩いていたつもりだったのに、やはり悪い方の足を知らず知らずのうちに庇っていたのだろう、大丈夫な方の足にやたらと疲労感がある。あと、景色をほとんど見ていないということにも気づいた。コースのことばかり考えていて、道中、どんなお店があったかとか、そういうことにまったく注意が向いていなかった。ただ、歩いたという感想だけが残っている。

 職場に戻る。ここだけは時間が停まっているかのようだ。十数年、ここで独りでやってきたのだなあと、改めて思う。こういう人生しか送れないのかと、いささか自己嫌悪に陥る。

 

 今日のこれからの予定? そうだなあ、計画を変更してしまったのでどうしようかと考えている。ゆっくり休んでもいいかなと思う一方で、帰りにもう一時間くらい歩いてやろうかという気持ちも生まれている。沸々と闘志が漲ってきた感じもある。散歩も悪くはなかったようだ。

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

 

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