11月12日(月):後悔
今日は午前中は仕事とちょっとした予定が入っていた。午後からはゆとりがある。すでに「象徴」のブログを書いており、午後からはずっとそのテーマの勉強をしようと思っていた。
電話が一本入る。企業の提携の話だ。僕は全然かまわない。企業の提携先に名を連ねることは拒まない。それで金曜日に一度打ち合わせをすることに話が決まった。
しかし、夜になって、やっぱり断っておけばよかったと後悔し始めている。ネックとなっているのはお金だ。もし、僕が提携先として名前を連ねさせて下さいとお願いしたのなら、こちらがお金を払うのは頷ける。でも、依頼されたこちらがなんで金を払わんといかんのだ。その理屈が僕には理解できない。もしかしたら詐欺じゃないかと疑い始めている。
仮に金を払うのは良しとしよう。最初の2年だけで、以後は永久契約でこちらから支払うことはないということである。しかし、2年間で支払った分はまず回収不能になるだろう。僕はそれを確信している。企業と提携しても、そこからの集客はほとんど見込めない。
企業には産業カウンセラーなりがいるものである。彼らの話によると、そういう企業内部のカウンセラーに抵抗のある人が多いということらしい。どうやって調べたのか分からんけど、そういうことらしい。内部のカウンセラーは受けにくいということであれば、それなら外部のカウンセラーと提携しようかいなということになったようだ。無邪気にも彼らはそれを鵜呑みにしているのだ。
結論から言うと、内部のカウンセラーを避ける人は外部のカウンセラーも避けるものだ。カウンセリングそのものへの抵抗がそこにあるからである。内部のカウンセラーには会いづらいと訴える人たちは分かっていないのかもしれないけど、外部のカウンセラーの方が敷居が高いと感じられるものである。従って、内部のカウンセラーにはあれこれの理由で抵抗があると訴える人は、外部のカウンセラーに対してもあれこれ理由をつけて回避するものである。
もっとも、すべてがすべてそうであるとは言わない。中には本当に内部のカウンセラーにのみ抵抗があるという人もあるだろう。でも、それは、一握りの人たちである。
その一握りの人たちでも集客すればいいではないかと言われそうだが、この人たちはさらに二分される。外部のカウンセラーに会って、それでいい経験をする人とそうでない人とである。後者は、例えば、外部のカウンセラーと会っていることで、内部のカウンセラーに対して、あるいは企業に対して後ろめたい気持ちを抱いてしまうといった人である。ひそかに悪いことをしてしまっているような気持になったりするわけだ。要するに、外部のカウンセラーと内部の人たちとの間で板挟みのような経験をしてしまう人たちである。こういう人もけっこう現れるものなのだ。
こうして、外部カウンセラーで上手く人はさらに限られてくるわけだ。おそらく、内部のカウンセラーとは上手く行かなかったという経験をした人だけが残るだろうと思う。最初に内部のカウンセラーにさえ会うことがない人には、正直言って、期待が持てない。
いずれにしても、内部のカウンセラーと会うことなしに、いきなり外部のカウンセラーと会うことのできる人は少ないと僕は思っている。本当は内部のカウンセラーの方が信用しやすいものである。いきなり高いハードルに挑戦することはしないものである。もし、それをする人があるとすれば、そこになんらかの症状がすでに表れているものだと僕は考えている。
ああ、やっぱり断っておけばよかった。金曜日の打ち合わせが、今から、月曜日の晩からすでに億劫に感じられている。そこまで言うのなら一度話をうかがってみようなどと思ったのがそもそもの間違いだ。僕もけっこうなお人よしである。それで余計な後悔を背負い込んでしまうこともしばしばである。ああ、気が重い。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)