10月5日:会社の辞め方(2)

10月5日(水)会社の辞め方(2)

 

 会社を辞める望ましい動機は、次にやることや目指していることがあって、今の会社に所属している限りそれができないのだというものである。

 だからと言って、理想を追っかけて、そのまま会社を辞めるというパターンは避けたいものである。次のことが具体的で現実的な形になっている段階で辞める方が望ましい。

 

 転職で失敗してしまうという人は、辞めてから動き始めるからであると僕は思う。会社を辞める前に既に動いていなければならないと僕は思う。つまり、会社を辞める以前に、有給休暇などを利用して、次のことに取り組み始めていなければならないのだ。僕は高槻で開業する時に、それをしていなかったので、大分遅れてしまったのである。僕の苦い経験からもこのことは強調しておきたいのである。

 つまり、再就職するのであれば、今の会社に所属している段階で就職活動を始めていなければならないということであり、独立してお店を構えようというのであれば、今の会社を辞める以前にすでに物件を探したりを始めていなければならないのである。後者の場合、退職して一か月後には店がオープンできているくらいの方が望ましいと僕は思う。

 会社を辞めて、一か月ほどのんびりして、それから次のことに取り掛かろうと考えている人は、僕の考えでは、失敗する可能性が高い。ブランクを空けてしまうということが、どれほど不利なことであるかを、そのように考える人は知らないのだと僕は思う。

 

 勤めていた会社を退職するとなると、最後に有給休暇を消化してくれと要請される。会社には行かないけれど、まだ会社に所属しているという時期が生じる。この間に遊び過ぎる人は、後々泣くことになるだろうと僕は思う。

 ついでに言うと、そういう時の有給休暇は上手に用いた方がいいと思う。今は九月であるが、九月一杯まで勤務して、十月の頭に有給休暇を持ってくるという形にすると、十月は勤務こそしていないけれど、十月の月末には一、二週間分の給料が支払われる可能性がある(これは会社によって異なるかもしれない)。収入が途絶えないための工夫をする必要もあるということである。そして、この連日の有給休暇中に、次のことを始めていなければならないということである。

 

 本題に戻る。従って、こういうことである。会社を辞める時点で、次のことが既に現実的に絵に描けていなければならないということである。辞めてから絵を描いては遅いのである。言い換えると現実的な絵が描けないうちは何があっても辞めない方がいいということである。

 若い人ほど、「何とかなる」と考えてしまう傾向があるように僕は思う。それは確かにそうで、やっていれば何とかなるということを僕も何度も経験した。しかし、「何とかなる」という考えが通用するのは、基本的に二十代の間だけだろうと僕は捉えている。年齢を重ね、体験を積んでいくに従って、「何ともならない」の方を経験していくものだと思う。

 

さて、次に始めることの絵が描けるためには、自分が何を目指しているのかが明確になっていないといけない。自分でも何がしたいのかよく分からないとか、自分自身がよく分からないという人は、そのような絵を描くことが難しいだろうと僕は思う。そして、その絵が明確に、かつ、現実的な絵が描けていないうちは、嫌だと感じていても、今の会社に属している方が望ましいのである。僕はそう考えるのだけど、僕の考えは保守的すぎるだろうか。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー

 

 

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