10月3日:足の回復

10月3日(月)足の回復

 

 足はかなりましになっている。ある程度普通に歩くことができている。昨日はクライアントとの面接以外の時間は、できるだけ横になって、足を休めたことが良かったようだ。今日は痛みだけでなく、足全体が楽になっている。

 しかし、葛藤もあった。面接以外のことはしないでおこうと決めたのであるが、その分、昨日しているべき作業を今日しなければならない。今日は今日でしなければならないことや面接も控えている。どこかで、また、この遅れを取り戻さなければならない。そう思うと、休まない方が良かったのかもしれないが、でも休んだ方が足の回復も早くなるのだから、どちらを取るべきかで悩んだりした。

 よく「うつ病」と診断されたクライアントで、休めと言われているけれども、仕事が溜まっていくしという葛藤を表明される方がおられるのだけど、僕は迷わず「休むべきですよ」などと言っていた。でも、自分がその葛藤を抱えるとなると、意外と決断に悩むものである。「うつ病」の人には「休め」と言っておきながら、自分に対しては「休め」と言わないのか、そんなのおかしいではないかなどと突っ込まれるのもかなんなあと思い、昨日はそれで休むという決断をしたのである。今日が少したいへんだけれども、それでも休んで良かったと思う。痛みを抱えたまま仕事をするのは、やはり辛いものである。

クライアントが来る予定の15分くらい前に起き、準備をし、クライアントが帰られたら、即座に横になるということを、昨日は繰り返した。それ以外で起き上がったのは、昼食の時と、タバコを買いに外出した時だけである。

 

 僕の親はある面ではとても厳しくて、熱が少々あるくらいでは学校を休ませてくれなったのを覚えている。病欠している友達とかを見て、羨ましいと思ったことも幾度となくある。そのお蔭かどうか、僕にはあまり「病気への逃避」という傾向が少ない。少々の熱や痛みくらいなら、休むよりも、やってしまえと考える方なのである。休んでいろんなことが後回しになることの方を避けたいと思うのである。自信のない試験を控えているとすると、「試験当日に風邪をひかないかな」と思うのではなく、「もう、アカンのならアカンでええさかい、早よ、試験を済ませたいわ」と思う方なのである。

 僕のこの傾向のお蔭で、「ヒステリー性格」の人とはウマが合わないのである。「回避性」の人を理解し損なったりするのである。この傾向も、好いこと半分、悪いこと半分である。

 

 ここまで書いていて、事件が起きた。実はこの原稿、月曜の朝一番に公開できるように、既に日曜日の夜に書いているのである。職場近くの喫茶店で書いている。たまたま表を通りかかった僕の女性友達が入って来て「足、大丈夫?」と声をかけてくれたのだ。彼女は昨日、僕が杖をついている姿を見ている。足が悪いのを知っているのである。「座って行けば」と誘おうとしたのだけれど、彼女は今仕事中だということだった。買い出しに外出したのだそうである。

 彼女との関係ももつれたままである。なんとかしなければと思っている。そう言えば、この数日、足の痛みのことばかり考えていて、彼女とのことを気に病まなかった。悩み事や心配事というのは、尽きないものである。

 

 今日のブログ、痛みは必ず回復するものであるというオチに持っていきたかったのだけれど、なかなか予定通りにいかないものである。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー

 

(付記)

 ああ、そんなことがあったなあと懐かしいような思いがする。

 「うつ病」の人には是非休んでくださいと言いながら、僕自身は休まずにいたわけだけれど、人間とはこういうものかもしれないな。医師も教師もその他の援助者も、人には言えるのだけれど、案外、自分はそれをしていないということもけっこうあるだろうな。

(平成25年6月)

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