10月24日:貧富の買い物 

10月24日(木):貧富の買い物 

 

 コンビニで働いているとその店の常連さんを覚えてくる。覚えてくると、今度は、この人は裕福そうだとか、この人はあまり経済的に豊かではないなとか、そういうことがちょっと見えてくる。もちろん僕の主観的判断であり、実際に裕福なのかどうかということは分からないのであるが。 

 仮に常連客を富裕層と貧困層というふうに分けてみよう。便宜上そう分けるだけのことだ。当然、両者の間の中間層に属する人の方が多いように思う。でも、中間層も、より富裕層寄りの人もあれば、より貧困層寄りの人もあり、ここではそれぞれ富裕層と貧困層に含めようと思う。従って、ここで僕が述べるのは、中の上とか中の下とかに属する人たちであるかもしれない。それぞれを富裕層と貧困層とここでは称しておこう。 

 富裕層と貧困層では買い物の仕方とかにいろいろ違いが見られると、最近思うようになった。僕の思うところのものを記しておこう。 

 

 一番印象的なのは、富裕層は買い物を一回で済ませるということだ。貧困層は何回も分ける。一回一回の買い物は小さなものであるけれど、そうして店に何度も足を運ぶ。そういう傾向がありそうな気がする。 

 買い物を一回でまとめてやった方が合理的であり、労力の節約にもなる。貧困層は敢えて疲れるようなことをしていると言えるかもしれない。 

 

 次に、富裕層は必要なものだけを買うのに比べて、貧困層はそうではないという印象を僕は受ける。これはつまり、貧困層は嗜好品の種類が多いのだ。だから買い物の回数が増えることにもなると言えそうだ。 

 嗜好品とは、ここでは生活必需品以外のものすべてを指している。お酒やタバコをはじめ、お菓子とかコーヒーとかジュースとかも含まれる。富裕層は生活必需品とみなせるものしか買わないが、むしろ貧困層はそれ以外のものを買う。 

 それは逆ではないのかと言われそうだ。貧困層の方が生活必需品しか買えなくて、嗜好品を買う余裕がないのではないかと思われるかもしれない。僕もそう思っていた。でも、実際はそうでもなさそうなのである。 

 こう言ってよければ、富裕層の方が堅実な買い物をしているということだ。 

 

 また、富裕層は生活必需品に加えて「備蓄」に属するものを買う。今食べるものと、後で食べるものを買うことがけっこうあるように思う。今日の分と明日の分を買っておくなどである。貧困層は今欲しいものだけを買う傾向があるように思う。 

 富裕層は先のことを考えて予備を持つ。貧困層は今満足するために買う。そんな印象を僕は受けている。 

 

 これは最初に挙げたものと類似の内容であるが、富裕層は買い物の時間が一定している。いつもこの時間に買いに来られるというのがはっきりしている。僕には何人かのお客さんで時間を知ることがある。この人が来たら2時だとか、この人が来てるから4時半になったなとかが分かるわけだ。貧困層は買い物の時間がバラバラだ。早朝に来たり、深夜に来たり、そして一日に二度三度と買いに来たりするわけだ。 

 

 また、これも類似の内容を含んでいるのだけれど、富裕層は買い物の時間が短い。だいたいいつも買うものが決まっていて、余計なものは買わないという傾向も関係があるだろうと思う。 

 貧困層は、これが長いのだ。あれを買おうかこれを買おうかと迷ってる時間があるのだ。何を買うのかハッキリしていないことが多いように思う。あるいは、お金の計算をしているためかもしれない。あれを一つだけ買うか、これを二つ買うか、どちらが得かなんてことを考えながら逡巡しているのかもしれない。 

 

 支払いにも違いがあるように思う。富裕層は支払い方式が安定しているという印象が僕にはある。ペイペイならペイペイばかり使う。現金ならつねに現金払いである。 

 貧困層はそれがまちまちであるように僕は感じる。現金で払うこともあれば、ペイペイなんかで払ったり、交通系電子マネーで払ったりする。お金があるもので支払うからだと思う。所持しているお金の使い分けというか仕分けがしっかりできていないなという印象を受ける。 

 

 クーポンとかポイントとかに関してはあまり違いはないかもしれない。ただ、クーポンの一枚、ポイントの一点にやたらと拘泥するのは貧困層だという気がしている。なんか、やたらと必死な感じが伝わってくるのだな。それだけ一枚のクーポン、一点のポイントの重みが大きいのだろう。 

 

 富裕層と貧困層の違いは、収入面だけでなく、支出面からも見えてくるように思う。概して、富裕層の人の買い物はスマートだ。貧困層の買い物はどこかたどたどしいような感じがする。それが悪いとかいう意味ではない。買いものとか買い方とかにも、その人のパーソナリティが現れるものであり、生活スタイルが現れるものだと思う。もう一つ言うと、僕には差別する意図はないし、個々人の貧富の差を強調するつもりもない。 

 僕も(ここで言う)富裕層の人の買い方を見習いたいと思うだけである。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

 

 

 

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