10月12日(土):サービスエリア
今日からの3連休、僕は島根県に行く。母の同窓会があり、両親が揃って島根へ行くので、僕は付き添いを兼ねて同行することにした。家族で島根に行くのも今回で最後となるだろう。だから行っておきたかった。僕の方の理由はそれだけだった。個人的な目的は特になかった。
昨晩はバイトも休みにした。夜は寝ておこうと思ったが、どうしても眠れず。朝5時には床から抜け出し、準備をして、6時前には出発となった。父も眠れなかったらしい。
連休の初日なので高速道路で渋滞に巻き込まれるかと思いきや、そうでもなかった。比較的スムーズに来れた。ただ、運転手である父が頻繁に休憩を挟むので、サービスエリア(SA)に何度も入った。
SAに入ると売店があったりする。ああいう売店で働いている人たちはどういう人たちなんだろう。どういうルートで働くことができたのだろう。ちょっと興味を覚えた。
SAの売店にはその地域ならではの土産物なんかもある。バイト先に何か買って帰ろうかと思ったけど、やめた。僕が島根に行ってるということは誰も知らないし、知らせるつもりもない。土産物は無しだ。
ただ、買わないくせに土産物なんかを見るのは楽しい。地域限定のお菓子とかグッズなんかもあって、ああいうのを見るのも楽しい。買わないくせに。
でも、「島根か鳥取か分からないけどその辺に行ってきました」とかいうネーミングのチョコパイにはちょっと惹かれた。どこに行ってきたのかようわからんとみんなから思ってもらえるのも一つの手かな、と思った。
お昼は某SAの食堂。そこがまさかの松屋だった。松屋で食するのなら高槻と変わらんじゃないかと思ったが、しょうがない。両親の都合に合わせないといけないからだ。
そこの松屋だけれど、客席スペースがさすがに広く取ってある。代わりに不便なことが多々ある。タレとかドレッシングとか、そういうのが各テーブルに置いてなくて、セルフで料理を受取に行って、そこのカウンターでかけるものはかけてテーブルに戻らないといけない。なんともやりにくい。
その他のサービスエリアでは、売店がセブンイレブンだった。なんでこんなところにまでコンビニが進出してるんだよ!などとも思ったが、タバコが置いてあるので許してやろう。他の売店ではタバコが置いてなかったりする。ただ、コンビニのスペースの半分は土産物を置いていた。どうしてもそうなるんだろうな。
でも、このセブンイレブン、レジが3台あって、1台目は車椅子のお客さんが利用していた。少々時間がかかるのは仕方がない。僕の前のお客さんの時に2台目のレジでお金が詰まったようだ。僕は3台目のレジに案内された。タバコを買い、千円札を投入する。まっすぐ入らず、エラーとなる。入れなおして清算はできたが、あれはどうもレジ内の掃除を怠っているな。2台目のレジもそのせいでお金が詰まったのではないだろうか。どうでもいいことだけれど、そんなことに注意が向いてしまう。
SAの規模もさまざまだ。売店からレストランまで揃っていて、子供の遊び場まで備えてあるような大きなSAでは一般道路側からも入れる。裏側に一般道から来た車のための駐車場がある。車は行き来できないけれど、人は高速道路側と一般道路側とで交わることができる。
このシチュエーションを見て閃いた。例えば密輸品なんかを運んでいる犯人が、高速道路側からSAに入り、そこで一般道路側から来た仲間にブツをこっそり渡して警察の追っ手をくらますなんてミステリがあってもよさそうなのにと思った。
ミステリバカのバカ具合も度を越してきたな。
トイレと自販機しかないってPAもある。でも、そういう所でおじさんがゴミ箱からゴミを回収していたのを見かけた。黙々と一人作業してるのだけれど、ああいうのが羨ましいと思った。
一人一か所ってことはないだろうから、移動して、何か所ものSAやPAのゴミ回収をされるのだろう。ひょっとしたらトイレ掃除とか灰皿清掃までするのかもしれないし、植え込みの世話とかまでするのかもしれない。いずれにしても尊い仕事である。
SAにはいくつも入ったが、特にすることもない。タバコを喫うくらいだ。あと、その辺を歩く程度である。足を屈めてずっと座ってるとヒザが痛む。SAに入る度に膝を伸ばさないとやりきれん。ついでにその辺も歩いておく。常に動かしていないといけない。
喫煙所にはいろんな人がやってくる。何気なく観察していると面白い。どの人も普段とは違った顔を見せていることだろうと思う。あるいはありのままの素顔で過ごしているかもしれない。
道を間違えた人たちもいたな。下りるところを間違えたようだ。ただのドライブになったねなどと、仲間同士で、アクシデントも楽しくやり過ごしていた。あれはほのぼのとした平和な光景だったな。
一方で車がパンクしたという家族もいたな。SAの売店の店員さんにいろいろ相談していた。結局、車はレッカー車が取りにくることになったらしく、彼らは高速バスに切り替えたようだ。こちらはアクシデントに見舞われたけれど、なんとか旅行を続けることができたようだ。
いろんな家族連れを見かけた。一人足りないんじゃないかといった家族もチラホラ見かけた。要するに父親か母親が欠けているわけだ。仕事や用事があって同行できなかっただけかもしれないけれど、父子家庭、母子家庭のところもあったかもしれない。みな、それぞれの事情を抱えているものだな。ただ、旅行とかレジャーを楽しんでる姿は見ていて救いになる思いがした。
僕にとってもせっかくの旅行なのだから、旅行記みたいなのを書きたかったのだけれど、SAしか書くことがないっていうのも困ったものだ。ずっと車の中で座りっぱなしだったからしょうがないか。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)