1月16日(月):映画の話
昨夜、父に頼まれていた品物を買いに本屋に行った。その時に、DVDも購入しておいた。
書店で販売されている、昔の映画のDVDをこの一年くらい定期的に買っている。一枚350円とか500円で売っているようなやつである。チャプター分けはいい加減で、字幕の日本語は時々間違っていて、特典映像など一切ないという代物である。映画本編だけしか入ってないのであるが、それでも作品自体は普通に観ることができる。
古い映画なので、あの手のDVD作品は大半が白黒映画である。この白黒というのが、また、実にいい。写真なんかでも、カラー写真は、何と言うか、記念写真みたいな感じがするのだけれど、白黒写真は貴重な資料を見るような感じに襲われる。だから、モノクロの写真はきちんと見なければいけないという感じに、僕の場合はだけど、なるのである。映画でもそれは同じである。白黒映画は姿勢を正して観てしまう、そういう気持ちになるのである。
大体二か月に一回、この手のDVDを3~4枚ずつ買うことにしている。二か月の間に、これらをしっかり観るということにしている。
大概の作品は三度以上観る。一回目は普通に物語を愉しむ。二回目に見る時は、一回目で見落としたような所や疎かになった所に注意して観る。特に、セットや衣装、個々の俳優さんの演技などに注意して観る。ストーリーが分かっているので、そうした所に注意を向けやすいのである。三回目は、脚本に注意して観る。古い映画は映像よりも脚本がしっかりしていると僕は個人的に考えているので、脚本をしっかり観るようにしている。大体、こんな感じで観るのである。
この手のDVDを数えてみると、すでに40作近くを僕は観たことになる。いつか、それぞれの作品について感じたことなどをここで書いてみたいものである。いい作品もたくさんある。
故淀川長治さんが「映画は娯楽ではない。人生そのものだ」ということを熱く語っておられたのを聞いた覚えがある。最近、そのことが理解できるようになってきたなと感じる。一作一作の中に、その物語を構成する人たちの人生があって、いい映画は、その人たちの人生を丁寧に表現しているものである。僕はそのように捉えている。映画の一作一作から、いろんなことが学べるのであるから、安い買い物である。
最近の映画は僕はあまり知らないし、興味が湧かない。映画そのものは変わらないと僕は思っている。単に技術が新しくなっているだけで、本質的なものは1950年代の映画も2012年公開の映画も違いはないだろうと思う。ただ、映画のテーマや技術の下地は50年代までに完成していて、それ以後の映画は、それらを発展させたものや、大掛かりにしたもの、二番煎じにしたものという印象が僕にはある。だから、古い映画の方がオリジナリティに満ちているように感じているのであるが、僕の偏見であろうか。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)