9月8日(火):見通し
今日は本来なら定休日なんだけれど、高槻に出る。その代わり、朝は少しだけゆっくりした。
職場に来ても、これといってやらなければならないこともない。いつものようにいくつか論文なり本なりを読み、あとはキーボードを練習する。
このキーボードの練習とは今月に入ってから始めたものだ。指先を動かすことが目的で、曲を演奏するとか、そういうことはまったく考えていない。
ハノンをやる。今月の目標は1番から20番までをスムーズに弾るようになるということだ。今、12番辺りまで来ている。
過去にも練習したことがあるので、特に困難はない。若い番号の曲は繰り返し練習した経験があるので、すぐに思い出す。あまりなじみのない曲であっても、最初はゆっくりやって、それを10回も続けると指使いがほぼマスターできる。20回もやればコツもかなりつかめる。
一曲一曲はそれほど難しくない。ただ、スムーズに弾けない時がある。それは次の理由によるものだ。
まず、指が疲労してくる。すると指がタイミングよく動いてくれない。しかし、これは鍛えていけばクリアできる問題だ。
上行と下行の切り替わりの所でテンポが途切れることもあるけれど、これも繰り返しやっていくとマスターできる。
以前に身に着けた指使いが新しい曲を弾く際に妨害となることがある。前半は同じで後半が異なるという場合、先に練習したものが後の曲の邪魔をする。そして、後から学ぶ方を身に着けると、今度は先に練習した方がその妨害を受けてしまう。こういったことも起こる。しかし、これも両方が十分弾けるようになって混同しなくなればクリアできる問題のようでもある。
あとテンポの問題もある。一定のテンポをキープしないといけないのだけれど、疲労してくると速くなったり(早く終わらせようとしてしまうわけだ)、運指が十分に身についていないとテンポが乱れることもある。これも、最初はテンポの乱れを気にせず、運指を身につけよう。それが十分に身について、指に注意や意識を割く割合が少なくなってから取り組んでもいいのかなと思っている。
その他、細々した問題もあるけれど、それぞれの問題に見通しがつくと楽観的にいられるものだ。そして、このことがとても重要なんだな。
カウンセリングでもクライアントが苦しむのはそこなんだな。問題は意識されているけれど、それに対する見通しが何も立たない状態に落ち込んでいることも多い。そういう人が少しでも見通しがつくと、けっこう苦しいことに耐えられるようになったりするものだ。要は、カウンセリングでどこまでその見通しがつくようになるかが勝負になってくるわけだ。
従って、問題そのものが解決しなくても、見通しがつくというだけで、展望が開けるというだけで、その人は問題に対してずいぶん強くなるものだ。ざっくばらんに言うと、解決に至らなくてもいいくらいなのである。
何事も、困難なことには見通しがつくようにしたいものだ。そこに努力を注ぎたいものである。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)