8月29日:「何かを建てる夢」
<夢>
近所の風景。一部はすっかり変わってしまった。かつて友達の家があった辺りに、コンビニのような店と古本屋ができている。古本屋に入る。珍しい文庫本を発見した。初期の日本の推理小説のアンソロジーで、三巻セットの本だった。とても欲しいと思ったが、けっこう値段がするなと思い、迷う。その他、古いレコードやチラシなんかのコーナーもあった。
(途中が欠落してしまう。次に示すのはこの夢の最後の場面である)
僕と他に数人の男女が広い空地に立っている。僕たちはここに何かを建てることになっていた。
(連想と感想)
かつて友達の家があった辺りに、僕たちの遊び場だった空地があった。夢では、ちょうどその空地のあった場所に店が立っていた。子供時代の遊び場はもうなくなっている。一方、珍しい古本を発見した時のワクワク感は、もしかすれば子供時代に経験した感情と通じているのかもしれないと思った。
夢は別の場所に空地がある。そこに僕を含めて数人の男女が立っている。もちろん、この男女は現実には存在しない人たちだ。ただ、夢の中では僕たちは一つのグループである、一つの単位だ。集合的な要素に僕は関わりを持っている。
そこに何か新しいものを建築しようとしている。何かが僕の中で築かれようとしているのかもしれない。そのことに関して思い浮かぶのは、僕は今の自分の生活を一新したくてたまらないという衝動を覚えている。夜勤やアルバイトを辞めたいと思うのもそのためだ。酒やタバコも極力控えるようにしたいと思うのもそうだ。専門書以外にミステリやSFを読む時間をもっと設けたいと思うのもそうだ。体を動かして、毎日軽い運動をしようかなと計画しているのもそうだ。もう一度何かを築こうと僕はしている。
夢では、それが何なのか、何を築こうとしていたのか、どういうものを建築しようとしていたのか、まるで示されていない。それは僕自身、何を築こうとしているのかが見えていないからだろう。ただ、そのために必要な人員だけはそろっているという感じだ。それを始めるに必要なエネルギーはあるのだろうと思う。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)