8月19日:「Nさんの妊娠の夢」

8月19日(金):「Nさんの妊娠の夢」

 

 夢を見たので記録に残しておこう。

 

 それまでのいきさつはよくわからない。雑多な場面を覚えているが、どこでどうつながっているのかは分からない。

 Nさん(僕の大学時代の友達の女性)は人気者である。男子たちは彼女とお喋りするためだけにも待ち伏せしたりする。駐車場のような場所で、数人の男子が彼女を待ち伏せしている。僕もNさんに用があったけれど、彼らの仲間入りはしなかった。

 Nさんは現れない。彼女は待ち伏せする男子たちの目を盗んでこっそり抜け出したのだ。他の男性と一緒に自動車に乗ってどこかへ行ってしまったということだった。

 僕はその場を離れる。駅の中の商店街のような感じだったが、僕は一軒の居酒屋に入る。オープンの少し前だったようで、店内に人はおらず、店員さんが働いている。

 店が開いたのか、僕はカウンターの席に座っている。目の前に店員さんが立っていたが、それはNさんだった。Nさんは僕を認めて話しかけてくる。

 しばらくお喋りを楽しんだところで、Nさんが「わたし、妊娠しているの。見て」と言う。見ると、彼女はズボンを履いていないのだ。パンスト姿なのだ。

 僕は目を背けて、「その前にズボン履いて」と彼女に頼んだ。でも、チラッと見えた限りでは、下腹部のところが膨らんでいるようでもあった。

 彼女は妊娠二か月だと言う。僕はそれを聞いて、半年後には卒業だから、卒業して2か月くらいで出産という流れになるのだろうな、と考えていた。

 その後、彼女は他のお客さんの接客でその場を離れた。僕はその他の店員さんやお客さんと会話して過ごした。再びNさんと接することはなかったようだ。

 

 以上が夢だ。

 Nさんは学生時代に僕をずいぶん助けてくれた女性だ。夢の中ではお互いにまだ大学生のようだった。

 現実に、彼女が働いているお店に行ったりもした。今だったらストーカーなどと言われそうだ。でも僕は純粋に彼女に会えたら良かったし、彼女の迷惑になるようなことはあまりしていないと思っている。夢を見て、その時のことを思い出した。

 夢では彼女はかなりオープンである。僕に対してはけっこうあけっぴろげなところがある。現実のNさんはそんなことはないんだけれど、これは言うまでもないことか。

 この女性がそこまで僕にオープンに打ち明けたり、体を見せたりするというのは、それだけ僕に対して信頼しているということだろうか。

 妊娠とか出産というのは、何か新しいものの誕生を予感させる。それが二か月前に始まっているということなのだけれど、2か月前と言えば、僕がアルバイトを始めたころだ。今日もまた新しいアルバイトの件で動いたのだけれど、これらが8か月後には何かを生み出してくれるのかもしれない。その前に、半年後に何かの区切りが生まれるかもしれない。そのように考えると、この先が楽しみになってくる。

 夢の最初の部分。男子たちが彼女を待ち伏せしているのを彼女が上手くすり抜けるという部分は、なんだろう。今日読んだ短編小説のモチーフに似ているので、多少は影響を受けているのかもしれない。その小説は、主人公が十代のころを回想して、学内で人気のある学生と自分との関係を述べているものである。

 多少は影響していると考えられるとしても、あそこで待ち伏せしている男子たちはかつての僕でもあった。こちらからは飛び込まず、相手が来てくれるのを待ち伏せしているのだ。

 彼女はそこをすり抜けていくのだけれど、僕がそういう姿勢でいる限り、大切なものがどんどんすり抜けていってしまうということなのかもしれない。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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