7月17日:キネマ館~『ナバロンの嵐』 

7月17日キネマ館~『ナバロンの嵐』 

 

 昨夜は家でゆっくりした。安物のワインを啜りながら映画でも観ようと考えた。チョイスした映画は『ナバロンの嵐』だ。 

 原作はアリステア・マクリーンで、『ナバロンの要塞』の続編という形を採っている。監督はガイ・ハミルトン。主演はロバート・ショウ、ハリソン・フォード、バーバラ・バック、リチャード・キール、エドモンド・フォックスといった面々だ。 

 時代は第二次大戦の頃、ユーゴスラヴィアのパルチザンを援助するため、そこに潜入しているスパイを抹殺するために、フォース10が結成された。まあ、物語自体は困難の連続を克服して、任務を遂行するというお馴染みのテーマだ。 

 僕は小学生の頃、テレビでこの映画を観て、それをビデオに録画して繰り返し見たものだ。僕にとっては思い入れのある映画なのだ。当時は、とにかく戦車とか戦闘機とか、そういうミリタリーがカッコよくて、それを見ていた。戦車なんて、ゴジラ映画に出てくるような模型ではなくて、本物の戦車なのだ。あのキャタピラのリアルな動きに感動したものだ。 

 今は、いささか見るところが違う。今の僕にとって、この映画の見所とは、あの美しいと思えるほどの建造物破壊のシーンである。実に爽快だね。 

 ドイツ軍の侵入を防ぐために両岸を結ぶ橋を破壊しようとするのだが、それが難攻不落の橋なのだ。そこで、上流のダムを破壊して、その激流で橋を破壊するという作戦を立てるのだ。この二段階の建造物破壊シーンが素晴らしい。 

 ダムに爆弾を仕掛け爆発させるのだが、それだけではとてもダムは破壊できない(憎らしい演出だ)。でも、しばらくすると、ミシ、ミシと軋むような音がして、壁に亀裂が入る。その亀裂から水が流れ出る。亀裂の数が増えていく。やがてダムの壁に穴が開く。水が激しく迸る。水圧でさらに穴が大きくなり、新たな穴が開き。二条、三条の水流がそこから放出する。やがて、壁一面がドカーンと破裂する。 

 水は川に注がれ、濁流となって橋に激突する。最初はびくともしないが、徐々にそのダメージが現れる。橋がぐらぐら揺れだし、欄干が落下したりする。橋梁の支柱が剥がれ、橋に亀裂が入る。そうして難攻不落の橋が徐々に崩壊していき、最後は橋が全壊し、流されていく。ああ、実に爽快だ。 

 現在ならそんなシーンもCGでうまく処理するのだろうけれど、当時はそれこそ実物と模型をうまく組み合わせて映像を作ったのだろうと思う。僕にはとてもリアルに見える。 

 この映画、冒頭で「ナバロンの要塞」の要塞と大砲が破壊されるシーンを再録しているのだけど、今から思うと、これは後の建造物破壊シーンの複線だなと思う。「ナバロンの要塞」も面白い映画だったけれど、建造物破壊シーンはこの続編の方が勝っていると、僕は勝手に評価している。 

 もし、これをお読みの方で、この映画を観てみようと思われる方に、僕は、是非、次の一言を贈りたい。本作は「建造物破壊が命」と(ムチャクチャ言ってるな)。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー 

 

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