6月29日:続・コンビニに嫌気がさす
昨日に引き続いて、今日もコンビニの話をしよう。
以前、コンビニでバイトしていた頃、マニュアルがあった。レジやストコンの操作方法が書いてあるのだけど、当時でさえ、それが百科事典のような分厚さだった。今はもっと膨大な量になっているだろうな。
「だろうな」というのは、実は紙媒体のマニュアルがもはや存在していないのだ。マニュアルはコンピューターで見るようになっている。あれを全部印刷したらすごいことになるだろうな。一体、あれだけのものを全部覚えているという人がどれだけいるだろうか。
ファミマは店員の格付けがある。初級、中級とかいうように、店員にレベルがあるのだ。ユニフォームについている名札の色でそのレベルが示される。だから名札を見れば、その店員さんが初級とか中級とか、そういうことが分かるのだ。
一番上は、ゴールドらしい。僕はそれを付けている人を未だに見たことがない。そういう人はどこの店舗でも働くことができるそうだ。僕は初級でけっこうだ。中級になるような資格は僕にはない。それほどいい店員ではないと自覚している。
しかし、初級とか中級、上級といったランクは、もはや個人の頑張りとかは関係がないということなのだ。その店でいくらその店員さんが貢献しているとしても、試験を受け、認可されない限り、初級のままなのだ。個々の店員さんの個性など関係なく、中級ランクの人と位置づけられるわけだ。はっきり言う、中級の店員さんが初級の人より優れているとは決して言えない。初級の店員さんの方がお客さんから好かれているという場合もけっこうあるものだと思う。
そして、店員はみな同じことをするように要請されてしまう。可哀そうなのは大人しい性格の人だ。その人は元気がないなどと上からお叱りを貰っていたりしてしまう。明るい人は元気な接客をすればよい、大人しい人は丁寧な接客をすればよいと僕は考えているのだけれど、そういうのが通用しなくなっていくのだろうな。
おまけに24時間、年中無休で営業するからには、そういうバイトの人たちを確保しなければならないし、一度確保したバイトに簡単に辞められては困るのだ。これはどこのコンビニでも事情は同じだろうと思う。
商品を搬入するドライバーさんで一人お喋りな人がいて、その人が余所の店舗のことをいろいろ話していくのだ。それを聞いていると、ああ、それはバイトを維持するための工夫なのだなと分かる。ウチの店は、あいにくなことに、そういう工夫をこらしている人たちが皆無だ。
せっかく入ったバイトがすぐに辞めていったりする。パートのおばさんたちは、今の若い子は辛抱がないなどと言って済ましている。でも、見ていると分かるのだ。若い子たちの自尊心を粉砕しておいて、そのことに気づいていないのだ。実は僕もこの人たちにはうんざりしている。僕が本当のことを言っているのに、一方的に僕を嘘つき呼ばわりするとか、そういうことを平気でやる人たちなのだ。そして、深夜勤務者はサボっているとか勝手に思い込んでいるのかもしれないな。
よく、同僚を名指ししては、あいつはサボっているとか、ラクしているとか告発するという人がいる。そういう人は決まって低い自尊心しか持ち合わせていないのだ。自分が有能だと信じられない人なのだ。それはその人の抱えている問題なのだ。それで告発された人たちが辞めて行って、そういう人だけが残ってしまうという悪循環が生まれてしまう。ウチの店もそうだという感じがしている。僕もそういう人たちを残して、一日でも早くあの店と縁を切りたいという思いに駆られているくらいだ。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)