6月23日:平凡な入院生活

6月23日(木):平凡な入院生活

 今日も朝早くから行動開始。4時には起きて、5時には病棟一周する。それからリハビリ運動をして、サイトのことをあれやこれやとこなし、7時にもう一周する。この時、他の病室の男性と挨拶する。他の患者さんと会話するのは初めてだな。

 リハビリは午前と午後と二回行う。時間があるので、午後からもしましょうということだった。僕もそれでいいと思った。何かをしている方がいい。
 リハビリも必要だけど、この腫れが引かない限り、動かせない。膝を曲げようとする。途中までしか曲がらない。痛いというわけではなく、間がパンパンに詰まって曲がらないという感じだ。
 体を動かした後は体温が上がる。毎回測定しているけど、37度を超えることはなかった。全体的に熱が下がっているようだ。
 わずかずつでも、昨日よりも良くなっているところがある。まったく動いていないように思われても、どこかで違いが生まれているものだ。

 患部を冷やして、安静にしている時は、いつもテレビをつけている。いろんな所に行ってみたいなあという気持ちになる。美味しいものには興味はないけど。
 病室に籠って、一日を過ごす。退院しても、職場に籠って一日過ごすのだから、なんの違いもないかもしれない。足が良くなったら、ホント、近場でいいので、どこか散歩に行こう。ただ歩くだけのことをしよう。

 テレビを見ていると、やたらとゲームのCMが目に付く。それだけプレイする人が多いのだろう。あんまりいいことではないね。
 ああいうゲームは常にプレイ状態にあって、ゲームは日常生活に侵食してきて、生活はゲームを中心にして組み立てられることになる。そういうものを煽るようなCMをじゃんじゃん流すのは考えものだ。

 早く、この病室から解放されたい。ここで足止めを食うのが本当に嫌気がさした。せっかく入院したのだから、看護師さんたちともお友達になろうかと考えていたが、もう、そんな上っついたことを考える気にもならない。少しでも早くここを出て、自分の人生を続けたい、それだけを考えている。
 それに、急な入院だったから、いろんなことが中途のままだ。仕事のことも、一切を投げ出して入院したのだ。明日やろう、今度にしようと言って、放置したままの作業がたくさんある。
 クライアントさんたちにも連絡を取りたい。このサイトを見てくれている人、あるいはブログを読んでくれている人なら、僕が入院中であることが分かるだろう。しかし、これを見ない人もいるだろうし、たまたま見なかったという人もあるかもしれない。すごく気になっている。

 父が来た。「どうや」と訊いてくる。後は日を重ねるしかないと父は言って、帰った。要件を済ますと、さっさと帰るタイプだ。母のように、お喋りしていこうというところがない。僕も案外そうかもしれない。用が済んだら、さっさと帰りたいタイプだ。もしくは独りになりたいタイプだ。

 今日は特に何かあったわけではなく、特別なことが何も起きなかった。平凡な入院生活という感じだ。
 夜、主治医が来て、一応、退院可能な状態だと言う。退院できるとは言わないのだ。まあ、いい。退院は僕と家族の都合に合わせて決めていこう。ただ、今後のスケジュールが不明であることが困るのだ。
 抜糸はいつですかと訊くと、もう少しと言うし、装具に関することでもアヤフヤなところが多すぎる。

 退院して、その都度、来院してもいいのだけど、この梅雨空の天気も困りものだ。雨が降っていると、外を歩かなくなるだろうな。それに雨の中の退院というのも、僕はいいけど、両親にはちょっとしんどいかもしれないな。
 いろんなものが僕に敵対しているようだ。そんな思いに駆られる。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー 

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