6月19日(火):肩すかしの復旧
昨日一日ゆっくりしたので、今日は腰痛がほとんどない。それで思い出した。昨日の朝は早く目覚めたのだけど、腰痛がひどいので、鎮痛剤を飲んだのだ。それが効くまで一時間ほど横になっていたのだった。地震発生時に家に居たのはそのお陰か。腰痛のお陰で助けられたようなものだ。これまた、不思議な縁である。
さて、今日は電車が普通に動いているようだから、職場に行くことに決める。被害の状況を把握しなければと思う。しかし、行くのが億劫に感じられている。テレビで放映される被害状況なんかを見ていると、ウチのところもメチャクチャになっているんじゃなかろうかという気持ちになってくる。本棚が倒れ、本や資料が散乱しまくっている職場の姿が思い浮かんでくる。できればそういうのは見たくない。いっそのこと、行かんとこかいなとも思った。
最初の予定では、今日はウォーキングの日だった。定休日なので、歩きに行く予定だった。この予定の方を優先してもいいのではないかとも思った。
でも、まあ、取りあえず、職場に行くか。メチャメチャにひっくり返った姿を見てみるか。
そうして家を出て、電車に乗る。なんとなく不安とか胸騒ぎがして仕方がない。極力、いつもの通勤と同じ感じでやることにした。いつもしているように、電車待ちの間にリハビリ運動をする。車内では本を読む。高槻に着いたら、喫煙室で一服してから改札を出る。と、通常のことをできるだけ意識して行うようにした。不安はあるけど、その不安をのさばらせてもいけない。
職場に着く。ドアを開ける瞬間はちょっとドキドキした。しかし、ドアを開けて、中を見ると、結構な拍子抜けをしてしまった。
思っていたよりも、被害がなかった、思い描いていたような散乱はなかった。本棚は一つも倒れていなかった。
書架の本が一部飛び出して床に落ちていた。それと書架の上に置いていたケース、カセットテープを収納しているケースが、6個すべて落っこちていただけだった。収納ケースは割れ、テープのケースもいくつか割れていたが、取りあえず、ケースは処分し、テープは書架にスペースを空けて突っ込んでおいた。
他に湯飲みが二つ割れていた。処分する。僕の方の被害はそれだけだった。目立たないけど、壁紙が破れている箇所があった。これは建物側の話だ。
きっとメチャメチャになっていて、一日がかりで復旧しようと覚悟していたものの、なんてことはない。ものの一時間で通常の状態に戻った。いささか肩すかしを食らったような気持ちでもあった。
せっかく来たのだからと、廊下や階段の辺りを掃除しておく。壁土がかなり落ちていた。管理人さんの娘さんに会った。4階(僕の上の階)の管理人さん宅はたいへんなことになっているらしい。2階の美容室さんも、表からチラリと見える限りでは、けっこうモノが散乱しているようだった。復旧もたいへんだろうなと思う。
僕の方は明日からでも通常営業を始められる。今年の連休中に資料等をかなり処分していたのが良かった。それに、少し、モノを減らそうと試みていたのも良かった。もっともカセットテープは想定外だったけど。
本棚は、正面から見ると分からないが、けっこう壁の方に傾けてある。尚且つ、下に重たい本を置き、上は軽いものを並べている。最上段になると、紙ばかりになるし、空ファイルばかりになる。一番上の箱類は、大小9箱あるけど、ほとんどが空っぽなのだ。
下に安定感を持たせて、上の方は軽いものを載せておく。少しでも安定するようにだ。もし、上にあるものが落ちてきても、硬いものや重いものはない。そういう多少の工夫はしているつもりでいたが、それも良かったのかもしれない。
夕方頃まで高槻に滞在する。途中、席を外したりもしたが、こうしていると、地震があったというのがウソのように思われてくる。いつもの日常と変わらない雰囲気がしてくる。それがいいのだ。できるだけ日常と同じようにしていく、意識して日常と同じ状態にもっていく、こういうことも大事なことだと思う。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)