6月17日(金):手術後の一日
9時に主治医が来て、9時半頃、看護師さんたちの手で管がすべて外された。やっと解放された感じがする。
10時にリハビリだ。ちょっとスケジュールが密すぎひんか。おまけに車椅子の板を外すというのだ。この板があると、怪我している方の足を延ばしたまま車椅子に乗れるのだ。それをいきなり外すというのだ。
それは、ちょっと待ってくれとお願いした。お願いしたというよりも、僕が頑固に言い張ったためかもしれない。何とか板は認めてもらう
リハビリ室まで連れて行ってもらう。台の上に横になる。足首の曲げ伸ばしをする。手術した左足はほとんど動かせない。わずかな範囲しか動かないし、数回行うと、膝が痛くなってくる。
言われたことはできるだけやるけど、痛くなったらそれ以上しませんよと、こっちから言う。リハビリよりも手術の方が優先だ。リハビリをやって前よりも悪くなったっていうんだったら本末転倒もいいとこだ。
次に、膝に力を入れる練習をする。ほとんどできない。昨夕の手術で今朝のリハビリだもの。しかも、その間、眠れなかったし、朝食も喉を通らなかったしで、こんな状態で何ができるというのか。
どうやら、リハビリ室が土日は休むので、それ以前に顔合わせして、どういうことをするか教えておきたかったようだ。それでも今日の午後とかでも良かったんちゃうかなと思った。
その後、歩行器の練習をする。その頃には、僕はもうしんどくてたまらなかった。動悸、息切れ、めまいに襲われていた。
土日の間に、できるだけのことはやるからと約束して、開放される。
病室に戻る。ベッドに横になる。ああ、しんど。
昼食が来る。「車椅子に乗ってください」と看護師さんが言う。「食堂かどこかに行くんですか」と僕は尋ねる。そうじゃなく、車椅子に座って、食べなさいということらしい。勘弁してくれ。看護師さんたちは一体僕に何をさせようとしているんだ。
昼食を終える。昨日の朝からやっと食事らしい食事をした。
しばらく車椅子に座ったまま待機している。迂闊にベッドに戻ったら何か言われそうだ。看護師の来る気配はない。座ったまま待つ。
ああ、もうどうでもええわと、ベッドに横になる。叱られたら叱られたで構うもんか。
ベッドから車椅子へ、車椅子からベッドへの移行もけっこうたいへんなんだ。思い切ってベッドの方へ移ってやれ。
少し寝ただろうか。午後の検温で看護師さんが来る。案の定、熱がある。解熱剤が処方される。よし、このままベッドに横になれる。熱があると証明されたんだから、何を言われても「熱があるんで」と言えば済む。
堂々と横になって、寝る。やっと眠れる。
おしっこをする。管を外してから最初の放尿だ。めっちゃ痛かった。
以後、おしっこをするのが苦痛となる。
午後、母が来る。何かと身の回りのことをしてくれる。看護師さんたちは、どうも僕にやらせたいのだと思う。自分で車椅子に乗って、自分でできるようにということなのだと思う。僕もできることは自分でやるが、一つこなすのでもけっこうたいへんなんだ。補助がある時は、当分の間は、補助に頼ろうと思う。
夕方、4人部屋に空きができたけどどうするかと看護師さんが訊いてきた。移ってもいいけど、まだ膝も痛いし、「イタタッ」って言ってしまうこともあるし、うなされることもあるし、周囲に迷惑をかけそうだ。僕は今週はこのままで居させてくださいとお願いした。
今朝、薬が処方された。痛み止め、胃薬、それに抗生物質か何か。最後のやつは多分、炎症とか腫れに効く分だと思う。前二つは三日分、後者は四日分となっている。こうしてみると、病院側は、僕の痛みはあと三日、腫れは四日という見立てを立てているようだ。こういう見立てはけっこう信頼性があるものだと僕は思っている。痛みは日曜日に、腫れは月曜日に治まると信じている。
だから、今週はこの部屋にいさせてくれと言ったわけだ。リハビリがメインになってきたら、4人部屋でも不自由はないだろう。
夜、看護師さんが来て、電気、落としましょうかと言う。僕は不思議に思った。照明が一つ付いているだけなんだ。これを消しましょうかということなんだろうか。
僕が思うに、だいぶん、電気をくったのだろう。昨夜なんて、深夜でもテレビはつけるし、エアコンは付きっ放しだし(でも、これは言われていることでもあった)、夜中でもなにかしらの電灯はついているしで、他の部屋よりも電気代が嵩んでいるのではないかと思う。
しかし、テレビは有料だし、患部の化膿などを防ぐためにもエアコンはつけておかなければならないし、個人使用はこのパソコンくらいなものだ。夜間と昼間の照明くらいは消しても構わないけど、看護師さんの見回り(特に夜間の)もあるから、一応、気を使ったつもりで、真っ暗にはしていなかったのだけど、今夜から全消灯にしよう。
ちなみに、今日で禁煙5日目。喫煙欲求に襲われること皆無。そこはちょっと驚きだ。怪我や病気の最中でも、タバコが欲しくなるのに、今回はそれが全く無い。自分でも信じられない。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)