4月28日:雲行き怪しい出版

4月28日(月):雲行き怪しい出版

 久しぶりにブログを書こう。このところバタバタと忙しい日々を送っていて、ブログにまで手が回らないでいた。面接の方はいつも通りだけれど、それ以外の作業や仕事が次々に入ってくる。ありがたいことではあるけれど、多少の利益につながらないとやっていてもつまらなく思う。

 先日、とある出版関係の人が来られた。僕の本が出るかもしれないと思い、浮足立っていた。内容もまとまっていないのに値段は決まっていたり、何を書くかはっきり決まっていないのに序文だけは仕上がっているという変な状態だ。でも、書くことのメモは取っている。B5の紙にすでに20枚ほど書き記している。
 今日も仕事を終えてから、居酒屋で酒を飲みながらメモを作成していた。それよりも、今日は飲みたい気分だった。疲れていたのと、出版の話もおかしな具合になりそうな感じがするからだ。雲行きの怪しい展開となりそうだ。
 本を出すのはいいけれど、どうして著者が経費の一部を負担しなければならないのだろう。僕には理解できない。どうしてそういうシステムが成立しているのか不思議だ。出版社は本を出すのに多少の予算を立てるものだろう。その予算内で収まるように作ればいいじゃないかと思うのだが。僕の方が注文をつけて、その分を僕が支払うとかいうのだったら話は分かる。でも、本もできていないのに経費の一部負担を求めてきたり、最初の話では僕は何も負担しなくてよかったはずなのに。話がおかしすぎる。
 後になって料金が発生しますと言われることほど腹立たしいものはない。金額に関わらずにだ。最初にそういう話をしていたのならまだ分かる。しかし、そういう説明もなく、むしろ逆の説明を受けていたのに、後になって金を払えっていうのは、まるで押し売りだ。
 押し売りならまだましか。詐欺に等しいな。こういうやり方は詐欺師の常套手段だ。後から、こういう事態になりましたのでお金を払ってくださいという手口だ。一度、それで支払うと二度目の事態がちゃんと用意されている。これを延々繰り返されてしまう。最初の一回目を支払わないということが大事だ。正直に言う。僕はあの出版社は詐欺だと信じている。
 しかしながら、いい機会でもある。今後、本を出す話が来た時のために、すでに原稿ができている、あるいは原型ができているという状態にしておこうと思う。それを見てもらって、彼らの方がその本を出したいと思うかを問おうと思う。
 出版社が求めるのは売れる本だ。売れるために工夫をしないといけない。ところがだ、彼らに任せると、ありきたりの工夫というか、他のと似たり寄ったりの同じようなタイトルの本になるのが関の山だ。彼らに創意が欠けていると僕は思う。専門家をあてにして、専門分野のことで書いてくださいと依頼して、出来上がった本はチープ極まりないというのが実情ではなかろうか。
 フォークナーが言ってたのかな、はっきり覚えていないけれど、文学はヒューマニズムを取り戻すものでなければいけないと。文学に限らず、出版物はそういうものでなければならないと僕は思う。厳しいことを言うようだが、書籍が好きだから言うのだ。それを読むことで、僕たちの中にありながら忘れかけているものを再び取り戻す、良書とはそういうものだ。いや、それは書籍に限った話ではないかもしれない。こういうインターネット上の読み物もそうであるべきだと僕は思う。少なくとも、僕はそういう思いをどこか心の片隅に抱きながら書いている。

 日付もかわり、今、29日の午前4時。0時ころ帰宅して、それからずっと原稿のことをやっている。メモを作成したり、文章を実際に書いてみたりして過ごす。いつしかこんな時間になっていた。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

(付記)
 しかし、詐欺だなんて、メチャメチャ言っているな。確かに、僕の方で負担する費用はないという説明を受けていたのに、後になって、こういうことになったので負担してくださいと言ってきたのだから、やっぱり詐欺か。
(平成28年12月)

 

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