4月26日:日々是学也(3)
文学作品やミステリだけでなく、学術的な論文も読んだら記録しておこう。これのタイトルは「ひびこれがく(まなび)なり」と読んでほしい。
(1-1)「今日の精神力動的研究における分裂病問題の位置」(ベネデッティ)
分裂病研究の歴史。ブロイラーからフロイトへ。フロイトは分裂病を自我障害として捉える。フェダーンは一部修正して自我備給の障害として理解する。ユングはさらに根源のコンプレクスにまで考察を深めた。根源にまでさかのぼろうとする研究は、分裂病の家族研究に至る。
その家族研究、関係における精神力動理論は次の3グループに分類できる。①母子関係を重視する。②母子に限らず家族全体を重視する。③広く社会全体との関係を視野に入れる。
最初の①のグループには、マーラーの研究。ウィニコットの研究。メラニー・クラインらの研究が属する。ただ、これらの研究は追跡調査がなされないという欠点を持つ。
②の家族研究においては、パロ・アルト学派(ベイトソン、ジャクソンやワツラヴィックなど)、リズらのグループ(エール大学)、L・ウィンのグループによる研究が生まれた。それぞれの研究には共通の輪郭がある。7つの共通項を挙げる。並びに、これらの研究が十分に答えていない点を3点挙げる。
③の社会学的、文化人類学的研究は、十分に検証されているものが少ない。
最後に、それらが総合されていくことが課題であると述べる。それぞれの連鎖を追及していくことが課題となる。
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1972年の論文であるが、分裂病研究の概観を見渡すのに適しているようだ。各々の研究についてはほんの触り程度のことしか述べられていないが、各研究の位置づけなどについては整理される感じがした。
(1-2)「私の経験に照らしてみた分裂病問題」(ベネデッティ)
これは二つの論文から成り立っている。
分裂病の基本問題。破壊的な心的摂取物を抑圧することができず、加工して自我に共存させることもできないこと。
(中絶。未完)
(補遺―どうも読んで書いてという作業のうち、書く方が遅れてしまうのだ。それで読む方ばかり先へ進んで、書く方が後を追う形になるのだけれど、いずれ書くのが億劫のなるようだ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)