4月2日(日):VIVAマカロニ~『七人の特命隊』
南北戦争の末期。南軍の駐屯地にて、流れ者が入り込み、混乱を引きおこす。彼らは南軍のリンチ大尉に雇われた面々であった。クラウド・マッケイ以下5人の無頼漢たちだ。戦況は南軍に不利であった。そこで南軍は悪党たちを集めて北軍の軍資金を強奪するという作戦に出たのである。マッケイたちはその任務を負う。ただし、リンチ大尉はマッケイに一つの条件をつける。金を奪ったら、全員を殺して、一人だけ帰ってこい、と。
北軍の基地に向かって出発した6人。途中、リンチ大尉も加わり一行は7人となる。川向うの北軍基地に乗り込み、激しく銃撃戦を交わし、北軍の領土に侵入成功。彼らは身分を隠して、金の隠し場所の中継点である酒場に個別に集合することになっていた。しかし、リンチ大尉が北軍が今日にでも金を移動させるという情報を得て、彼らは計画変更を余儀なくされることに。
酒場で大暴れし、給水車に紛れ込んで要塞内に侵入する。内と外から要塞を攻撃し、彼らは金を強奪することに成功するのだが。
以上が物語の前半部分であるが、後半はさらに目まぐるしく展開していく。マッケイと5人の仲間割れ、リンチの裏切り、捕虜収容所からの脱走、マッケイの策略と最終決戦と、小気味良くストーリーが流れる。本作は僕の好きな一作である。
クライド・マッケイをチャック・コナーズが演じる。バスケット、野球のプロ選手を経て、俳優でも成功したという人である。『大いなる西部』『ソイレント・グリーン』『復活の日』といった作品でもお見かけしているけれど、僕は本作の彼が一番いいと思っている。
リンチ大尉をフランク・ウォルフが演じる。案の定、悪役である。ここでは二重スパイを働き、金を独り占めしようなどと考える意地汚い悪役を演じている。本作のようなアクションを見せるのは珍しいかも。
仲間の5人は、それぞれ個性的で、自分なりの武器を持っているのが魅力だ。
レオ・アンチョリスが演じるデッカーは爆発物のプロで、バンジョーのような形のバズーカ砲をぶっぱなす。
フランコ・チッティ演じるホーギーは早撃ちのガンマンだが、ロープの使い手である。スケバン刑事のヨーヨーを思わせる。この人は『ゴッドファーザー』にも出ていたな。シチリア島に雲隠れしたマイケルの護衛役を演じていたように記憶している。
コレ・キトッシュ演じるキッドは身軽でアクロバティックなアクションを見せる。根っからの殺し屋というキャラだ。前進黒ずくめで、いかにも悪党といった外観であるが、アイドル顔のコレ・キトッシュがその役を演じているのがいい。
怪力のボガードをヘラクレス・コルテスが演じる。この人は俳優ではなくプロレスラーだったそうである。人の好さそうな雰囲気が漂っていて、いい配役だ。
ケン・ウッド演じるブレードはナイフの使い手である。あまりセリフがなく、寡黙な感じのキャラだ。どこかストイックなイメージもある。
その他、冒頭にしか登場しないフッド将軍にアルフォンソ・ロハス。クレジットされているジョン・バーサはどこに出ていたのかな、給水馬車の御者を演じていたのかな。
本作は面白い作品だ。主人公たちが悪党一味というのもマカロニならではだ。本家の西部劇ではこういう設定はしないだろう。この悪党たちも、南軍に利用されるだけなのだが、金になるのならそんなことは気にしないといった感じである。そして、この悪党たちが、策略にはまり、仲間割れし、裏切りを働くという、非常にダーティーな面々である。ところが、黒幕リンチ大尉一人が本当の悪人であるところに、逆説的だけれど、悪党たちにクリーンな姿を見てしまう。
銃撃戦やアクションシーンはふんだんにあり、見ていて飽きるということがない。5人の個性を生かしたアクションも好感が持てる。いかにもマカロニといった作品で、何度観ても、変わらず僕のお気に入りの一作だ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)