3月28日(火):VIVAマカロニ~『豹/ジャガー』
セルジオ・コルブッチ監督のメキシコ革命3部作の1作目。
ロシアからの流れ者ポラックは金次第でなんでも引き受けるような男である。彼はガルシア兄弟の所有する鉱山から銀を運び出す依頼を受ける。ところが、鉱山はすでにパコたちに占領されていた。
パコは鉱夫であったが、待遇の悪さのためにクーデターを起こしたのだ。鉱山はすでにパコたちによって占領されていたので、ポラックは仕事を失うことになったのだが、そこに革命軍が押し掛けてくる。そうしてポラックはパコたちと行動を共にすることになったのだ。
パコはポラックを雇う。機関銃の扱い方、戦い方、革命のことなどをパコはポラックから教えを請う。彼らは刑務所を襲い、収容されていたメキシコ人たちを解放する。その中にコルンバもいた。彼女は革命軍に加わり、後にパコと結婚する。
一方、ガルシア兄弟はパコに恨みを持つ。彼らは殺し屋のカーリーを雇う。ポラックによって部下を殺されたカーリーはポラックに恨みを持っている。こうして、ポラックとパコの革命軍は、ガルシア、カーリーの復讐にも応戦していくことになる。加えて、ポラックの理不尽な要求にパコたちの中でも彼への不信感が高まる。ポラックへの処罰を行った矢先に、ガルシアとカーリー軍の総攻撃が始まる。パコたちは命からがら助かるものの、革命軍はバラバラになってしまう。それでもガルシアとカーリーは執拗にパコとポラックを追跡する。
ポラック演じるのはフランコ・ネロ。
パコをトニー・ムサンテ、コルンバをジョヴァンナ・ラリが演じる。二人ともいい顔をしている。
悪役勢は、ガルシアに定番悪役のエドゥアルド・ファヤルド、カーリーをジャック・パランスが演じる。
カーリーの部下セバスチャンをホセ・カナレハス演じる。また、同じく部下のサイコロ賭博師で、ポラックにイカサマを見破られてしまう男はフランコ・レッセルだ。
ガルシア兄弟のもう一人の方、ポラックを雇った方をビセンテ・ロカが演じる。また、鉱山時代からのパコの仲間で、後にパコを裏切るペポーテをフランコ・ジャコビニが演じる。他、クレジットではラフ・バルダサーレの名前もあるが、恐らくパコの部下にいたのだろう、どこかで顔を見かけた気がする。
さて、本作は僕の好きなマカロニ作品の一作だ。革命なんて決してきれいなものではない、それを描いている感じがする。
悪役が二人いるのも魅力。しかも、勢力は悪役の方が大きくて、主人公たちが苦戦するのも面白い。悪役が強いほど、そして主人公たちが苦しめられるほど、マカロニは面白くなる。そんな敵と戦わなければならないのだ。そこに僕は人生の一抹の真実を見る思いがする。
ポラックは雇われただけで革命には興味を持たない。彼はパコに教授していくのである。時に理不尽な要求を出すこともあるが、革命とはそういう理不尽なものに向き合うことであるかもしれない。いずれにしても、パコは革命家としての自己を形成していくのだ。ポラックは最後までビジネスマンであるが、パコは革命に命を捧げるようになる。一介の鉱山夫から革命家へ、パコの自己形成もまた本作の魅力である。
音楽はエンニオ・モリコーネ。主題曲はマリアッチ風の行進曲で僕の好きな一曲だ。また、劇中に流れる口笛の曲も、なんか不安定なメロディを持った曲で、印象に残る。ちなみにこの口笛曲は『キル・ビル』でも使われていたように記憶している。
本作は僕の好きなマカロニ作品の一つだ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)