3月25日(金):「モンスター愛人」にご注意
水曜から木曜にかけて徹夜作業をして、昨日の木曜日は所用で出かけていた。クタクタになって、眠たくて仕方がなかったのに、昨夜は思わずテレビを見てしまう。
今朝は6時には起きたかった(実際に起きたけど二度寝してしまう)けど、起きたのは8時だった。午前中に雑用を済ませようと計画していたので、特に予定は入れていなかった。それが災いしたのか、結局、午前中はのんびり過ごしてしまう。
朝、テレビを見た。観たというより、たまたま家のテレビがついていただけなのだが。
見るともなく見る。ある男性有名人の不倫問題が取り上げられていた。どうだってええやないかと思いつつ見る。その男性の妻が謝罪文を公表した。立派な奥さんだと思い、僕はジ~ンと来たね。でも、街中の人にインタビューすると、どうしてその奥さんが謝罪するのか分からないという返答ばかりだった。僕はそっちの方が分からない。
不倫問題というのは三者関係の問題である。三者揃わないと成立しない問題である。夫と妻と愛人の三者である。夫と愛人の関係の問題であっても、妻もやはり当事者であり、無関係ではないと僕は考える。
この奥さんが立派だと思うのは、夫婦の連帯性の意識をしっかり持っておられるように感じられたからだ。夫の不祥事や責任は、同時に妻の責任でもあるという認識を持っておられるのではないかと憶測する。
少なくとも、自分は被害者だなどと声高に言って自分の立場を強調したりはしていない。不倫した夫をこき下ろしたりして、夫を貶めたりはしていない。夫が社会に迷惑をかけたことを、妻は自分のことのように謝罪する。なかなかできないことだ。
最近、この種の不倫報道がやたらと多いという気がする。この問題では、しばしば不倫した人が槍玉に上げられたりするけど、その愛人がどんな人であるかはあまり問われない。そういう印象を受ける。
意地の悪い見方だけど、その愛人に引きずりこまれたというような例もあると思う。数は少ないが、何人かのクライアントで、このような人と愛人関係になって、嫁と家族を失ったという人がある。
その人たちは妻子があるので一線を越えないようにしようとするのだけれど、ズルズルと相手に引き込まれていき、いつしか引き返せないところまで行ってしまい、その後は破滅に至るのだ。そういう経験をした一人のクライアントは、「蟻地獄のようなトラップに落ち込んだ感じだ」と自分の体験を表現されてたけど、よく分かる。
それで妻子を失って、愛人はその人と一緒になるかと言うと、そうでもないのだ。その人は妻子に捨てられ、愛人にも捨てられるのだ。ひどい場合には職や信用さえも失ってしまう。交際中は、奥さんと別れて一緒になってくれなんて愛人は言うのだけれど、いざ、それが実現しそうになると、愛人はその人を捨てるのだ。
異性とこういう付き合い方しかできないという感じの人もある。交際する人をみんな破滅に導いてしまうという人だ。DVの「被害者」側の立場の人にもこういう人がいるのだ。
不倫問題のすべてがこういう愛人によるものではないとは思う(いや、本当はそう思っている)けど、いつか機会があればこういう人たちに関して考えていることも述べてみたいとは思う。とにかく、現在不倫中の方々やこれから不倫をしようという方々へ、くれぐれも「モンスター愛人」にはご注意を。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)