3月21日(金):大宮周辺を歩く
業者さんに付き合わせてサイト作業をしようと思っていたら、今日は祝日だった。業者さんも休みだ。仕方がない。サイト作業は来週までおあずけにしようと決める。
家に居るとダラダラとしてしまいそうなので、とにかく外に出る。休日はなるべく歩くということにしている。まずは地元を歩く。コンビニに入って、タバコとコミックを一冊買う。その後、本屋に寄る。今日のブラブラ歩きのお伴にと、本を見て回る。
僕はこういう本の買い方をする。書店に入って、いろいろ手に取って、直感で今日買う本を決める。だから思いもよらなかった本を買っていたということもある。
今日、惹かれたのはナボコフの「ロリータ」とフィッツジェラルドの「偉大なるギャツビー」だった。有名な作品だけれど、どちらも僕は未読で、どちらにしようかと悩んだ。そして悩んだ時は無理に決定しないで、いったん候補として頭に入れておいて、時間を置く。
その後、電車でどこかに行こうと決める。京都方面の列車に乗る。繁華街は人が多いだろうなと思うと、行く気が失せ、大宮駅で途中下車する。周辺をブラブラ歩き、三条商店街に入る。ちょうど雨が降ってきたのでアーケード下に避難するような感じだった。
こういう商店街を歩くのが好きだ。生活感があって、おまけにどこか懐かしいような雰囲気が感じられる。買いたいものはないけれど、いろんなお店を見て回る。けっこう、いろんな店があるなと感心した。
帽子屋さんがあって、バーゲン品が店頭に並んでいる。一つ買おうかなと迷う。モノを欲しがるのは最近の僕の傾向だ。買う前によく考えようと思う。まあ、そこまで考えなくても、ハンティングの一つも持っていれば何かと着用する機会もあるだろうし、所有していて無駄ではないだろう。そう思いつつも、散々迷った挙句、買わずに終わった。
喫茶店に入る。小さな店で、昔ながらの喫茶店という感じだ。最近のカフェなんかとは違ったムードだ。客といえば近所の人たちで、常連さんばかりが集まるというような店だ。コンビニで買ったコミック「湘南爆走族」を読んで過ごす。
コンビニの復刻コミックは時々懐かしいところのものを突いてくる。「湘南爆走族」は昔全巻揃えていたほど好きだった。暴走族のマンガかと決めていたけれど、実際に読むと、バイクばかりではなく、それほど不良生徒が出てくるわけでもない。メンバーたちも、ライバルの地獄の軍団の面々も高校生で、彼らの高校生活があり、酒やタバコ、薬物をやったりするような人間は登場しないし、極悪人も登場しない。その辺り、好感が持てる部分だ。
喫茶店を出て、もう一度商店街を歩いた後、四条大宮方面に戻る。昼間からやっている立ち飲み屋があるのだけれど、行かなかった。一瞬、迷いはした。でも、行かないことにした。その代り、お昼ご飯はしっかり食べた。遅めの昼食になったが、満腹になるまで食べた。空腹感は飲酒欲求を高めてしまう。
そこから、さらにどこかへ足を延ばそうかとも考えたが、天候が不安定で、雨が降ったり止んだりの繰り返しで、その都度、傘を開いて仕舞ってというのが面倒に思われ、いったん帰宅する。
帰宅して、少し長い論文を一つ読み終える。夕方、すごく久しぶりに家族で食卓を囲んだ。いい一日だったなという感情が湧いた。
でも、何かスッキリしない。夜、やはり本屋に行って、本を買うことにした。この「やり残した」感は何かと自問していたら、そこに行き着いたのだ。あの二冊で再度迷ったが、結局、「ロリータ」に決める。読み始める。もしかしたらすごくいい作品なのではないかという期待が高まっている。まあ、それは後日、機会があれば書こう。
断酒は無事4日目を終える。そろそろ100時間が経過する。胃腸の働きが回復して活発になるのか、今日はトイレの回数が多かった。これは以前にも経験したことだ。断酒と関係あるのかないのか不明だけれど、僕はそれをいい兆しだと捉えている。
夜、Yさんにメールを送ろうかと思ったが、思いとどまった。向こうから送って来たら、それには応じるけれど、こちらからは何もしない。世話役は降りようと思う。そのまま自然消滅したとしても未練はない。その程度の関係でしかなかったというだけだ。向こうとて、事情は同じだろうと思う。しかし、後悔するのは、どうしてそんな冷え切った関係にしかならなかったのだろうということだけだ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)
(付記)
Yさんとはその後も浅い付き合いをしていった。それも今年で終わったが。別れの前後は少し辛い思いもしたが、すぐに吹っ切れていった。そして、何となくこれでいいと思えたのだった。
(平成28年12月)