3月20日:苦痛な演奏 

3月20日(日):苦痛な演奏 

 

 なかなか今日はたいへんな一日だった。 

 ネットの具合はかなり安定している。来週あたりからサイト更新と公開を実施しよう。 

 

 何か面白い小説をと思い、カミ『エッフェル塔の潜水夫』を手にする。僕が大学生の頃に一度読んだだけの本だ。あまりこういうユーモア系の小説は得意ではない。そのせいかほとんど印象に残っていない。それなりにバタバタして、面白かったような気はするのだが。再確認のつもりで、今日から読み始める。 

 

 今日も仕事を終えたら速やかに帰宅して、映画を観ようと考えていたが、どうにもむしゃくしゃする。こういう気分の時は、妙にお酒が欲しくなる。 

 よく行く店が閉まっている。困った。飲み屋はたくさんあるのに、いい店はあまりない。久しぶりにJK系列の店に行く。 

 イベントとかやってたらイヤだなと思い、恐る恐る店を覗く。静かだ。よし、今日はイベントがない、そう思い、入店する。 

 すると、奥の方でいきなりジャズ演奏が始まった。ああ、しまった、これをやるのか。 

 サックスとピアノトリオのカルテット演奏だったが、まあ、ひどい。聞けたもんじゃない。 

 サックスは雑音を交えるし、余計な装飾音とか、煩わしいほどのアクセントをつける。 

 ピアノは音数多く、忙しない。もう少しフレーズの区切りが欲しいところだ。 

 ベースは拍をやたらと外す上、1拍目が聞こえないことがしばしばだ。つまり、「トン、トン、トン、トン」と四つ打つところを、「トトン、トントン」という感じで打つと、1拍目を外したわけである。こういう奏法があるというのは事実であるが、あまり多用されると困りものだ。さらに、「ウン、トン、トン、トン」というように、絶対に一泊目の音が欲しい所で、その音が聞こえなかったりする。非常に気持ち悪い。 

 このベースが問題だ。粒が揃ってないというか、安定して音が聞こえてこない感じがする。音がはっきり聞こえる時とそうでない時がある。ここでは絶対にベースの音が欲しいという肝心の箇所で、それが聞こえないっていうのは、本当に演奏全体に関わるものだということがよく分かる。 

 ジャズっていうのは、4小節単位で動くと思っていただけるとよい。「1234,2234,3234、4234」と4小節で動いて、次の4小節が「1234、2234、3234、4234」と続く。これを重ねていくものだと理解するとよい。 

 それで、サックスが2小節ずれたのではないかと思った箇所もある。つまり、「1234、2234、3234、4234」という4小節で他は動いているのに、サックスが「3234,4234、1234,2234」の4小節で動いて、最後に2小節分の帳尻合わせをしたように聞こえた箇所があった。 

 ひどいもんである。 

 退店する時に、店の人からバンドにカンパをお願いされた。「イヤじゃっ!」と言って出てきたが、それは正直な気持ちである。けっこう、苦痛な演奏だった。 

 

 ああ、こんなことなら、当初の予定通り、速やかに帰宅して、DVDを観ている方が良かった。「心的により健康な状態の時に立てた計画に従うこと」という僕のルールを自ら破ってしまったために、こんな目に遭うのだ。仕方がない、自業自得だ。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

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