2月6日(月):春の訪れ
一昨日(土曜日)の晩、僕は仕事を終えて、喫茶店で書き物をしていた。店内が混雑してきたので、僕はいつもより早く店を出た。大体22時半くらいだったろうか。
それから駅に入って、電車を待つ。電車を待っている時に、どこかその辺を走っている暴走族の音を聞いた。爆音を轟かせて国道の方を走っているらしい。その音が僕の所まで聞こえてくる。その音を聞いて、僕は「ああ、春が来たな」と思った。
暴走族の人たちは冬場はあまり走らないものである。だから僕は彼らの出没と同時に、春の訪れを感じるのである。
一昨日走っていたのは、ある程度大きなバイクだったのだろう。音しか聞いていないので、どんなマシンだったか確認できていない。
原付を改造して、爆音を轟かせる人もある。しかし、なぜか原付でそれをする人は、単独行である。改造原付を乗り回している集団を僕は見たことがない。原付の場合、多くて三台といったところだ。
さて、暴走族の方々はなぜか「ゴッドファーザー愛のテーマ」が非常に好きである。暴走族でも、年季の入ったベテランになると、このテーマを非常に流暢に奏でる。一昨日、僕が確認した人は、あれは初心者だったね。「ゴッドファーザー愛のテーマ」が非常にたどたどしく、しかも一か所、音程を外したようだった。
ところで、彼がこのテーマ曲を奏でるというのは、しかも上手に奏でられるように練習するとすれば、それもやはり社会化の一つであり、「一人前の族」になるための通過儀礼となるのであろうか。恐らく、そうなのだろう。
しかし、暴走族もヤクザも、きちんとした組織に属している人はまだましだと、僕は思っている。その組織がきちんとしていればという条件付きであるが。厄介なのは無所属のチンピラみたいな立場の人たちである。
僕がコンビニでバイトをしていた頃、年に二、三回は警察に通報することがあった。店内や表で揉め事を起こす人があるわけである。たいていそういう揉め事を起こすのは、単独の無所属の人だった。だから、彼らの方が厄介だと思ってしまうのである。
逆に、ヤクザさんでも、組織に所属している人は、案外揉め事を起こさないものだったし、時には助けてくれることもあったし、けっこう気のいい人もいた。もちろん、僕が知った範囲でのことではあるが。
因みに、警察に通報する時に、大学生のバイトはほとんど役に立たなかったね。確かに、警察に通報するなどということを彼らは経験したこともないだろう。大抵、僕が通報していた。警察でブラックリストに載っていないかと心配になったこともあった。最後の方は、いっそのことブラックリストに載せてしまえとばかりに、何かあるとすぐに警察に通報していたりもしたのだ。あの頃の僕は、通報マニアかと言われてもおかしくなかったと思う。
もし、あなたの近所で暴走族が爆音を撒き散らしていたら、「春が来た」と思って喜ぶといいと思う。
(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)