2月3日:心の無視

2月3日(月):心の無視

 パソコンに不具合があり、一度、初期化した。それはそれでいいのだけれど、更新プログラムの類が次から次へと舞い込み、それらのインストールでけっこうな時間を取られている。一度で片が付けばいいと思うのだが、面倒なことである。それで、予定していたサイト作業の多くも変更を余儀なくされている。
 
 今朝、少し時間があったので、テレビをつけてみた。ある番組の出演者が「殺人の数は減ってきているけれど、親族の殺人の率が増えている」というようなことを述べておられた。このデータの妥当性は問わないけれど、これはいかに人が家族の葛藤を処理しきれずにいるかということを示しているように僕は思う。
 家族とは常に葛藤をもたらす存在である。でも、人は家族がいなければ生を営むこともできない。厄介な存在だけれど、必要な存在である。だから個々人が自分の家族葛藤を内的に処理することが求められるのだ。家族を殺すことは、その処理の失敗を如実に表している。

 冷凍食品に農薬を混入した事件では、容疑者の男性が容疑を認めたということで一つの段階を終えた感じがある。その工場の社長は引責辞任している。
 この社長さんの責任はどういうところにあるのだろうか。そういう男性を雇用したというところにあるのだろうか、それともこの男性の言動に誠意をもって対応しなかったところにあるのだろうか。
 僕の個人的な考えでは、この社長さんの責任は、従業員の「心の問題」に無頓着すぎたところにあると思う。
 容疑者の男性は「トラブルメーカー」だと評判だった。この「トラブルメーカー」なる言葉は、その人とかかわらないために作り出された言葉であると僕は思う。あの人はトラブルメーカーだと言うことで、人はその人を忌避する。忌避しておきながら、自分のその感情には蓋をできるのだから、これほど便利な言葉はない。
 こうして、その容疑者の男性は、孤立してはいけない状況で孤立してしまったかもしれない。もちろん、この男性の抱えている「問題」というものもあるだろう。そこはケアが必要な部分であっただろうと思う。そこを度外視して述べているのではないということは強調しておきたい。

 相変わらず、心のことを無視している出来事に満ちているなと僕は思う。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

(付記)
 この頃はなんかニュースを取り上げることが多かったな。あまり書こうと思うことがなかったためかもしれないし、気持ちが外側に向いていたためかもしれない。
(平成28年12月)

 

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