2月12日:暗~い気分 

2月12日(日):暗~い気分 

 

 昨日は忙しかったが、今日は少し余裕がある。蛍光灯の取替え、FAXのインクリボンの交換も終わらせる。二件の仕事が入っていたが、予定の入っていない時間はすべて書籍に充てる。 

 よく考えると、本の出版の話が正式に決まってから、一週間しか経っていないのだ。なんだかすごく時間が経過したような気分になる。暇さえできれば、本のことを考えていた。メモを取ったり、構成を練ったりした。 

 いざ書こうとすると、けっこう難しい。僕の中にどこか気負いがあるようだ。いつものサイトやブログの感覚で書いてみようと思う。そこから手直ししていけばいいのだ。分量のことも気にしないでおこう。もともと多めに書いて、そこからカットしていくつもりでいた。カットされた部分はサイトに転用すればいいだけのことだからだ。 

 一応、全体の構成は描いている。ただ、どうも一本筋が通っていないような感じがしてしまう。何か中心を明確にしなければならないようにも思う。まあ、それは編集者さんといつか相談することにして、今は、書くことのできるところから書いてみようと思う。 

 

 明日からはサイトのこともやっていこうと考えている。少しお休みした形になったが、サイトも大事なので、書籍と平行してやっていこうと思う。 

 心理学検定(ホンマに受ける気があるんかいな)に関しても、今日は一般心理学関係の本を少しばかり読んだ。僕が心理学の勉強を始めた頃、初期の頃に読んだ本だ。これはなかなかいい本だと僕は思う。依田新「心理学入門」(現代教養文庫)である。文庫本でコンパクトなんだけど、簡潔に要領よくまとめられていて、広い範囲の心理学領域がカバーされている。心理学の全体像を俯瞰するのに適した本であるように僕は思う。 

 

 気分がムシャクシャするので、夜は作業をすべて放棄し、飲みに行く。よく行くバーのマスターが入院したとは聞いていたので、その後のことも聞きたいと思った。経過はそれなりに順調であるそうなので、一応、一安心だ。あのマスターも高齢なので、もうダメかもしれないと僕は心配していたのだけど、どうやら僕の危惧で終わりそうだ。 

 生きていると死別を経験するものだ。僕の飲み友達でも亡くなった人が何人かいる。悲しいことではあるが、それが人の世というものだ。どちらかが先に亡くなるのだ。避けられないことである。 

 故人のことは書かないようにしよう。いや、本当は故人のことこそ書かなければならないのだ。頭ではそう思うのだけど、どうもそんな気になれない。 

 亡くなった人間に対しては何もできないなんて言うけど、ありゃ嘘だ。例えば、故人となった友人Aについて僕が書くとする。Aとの間で経験したことなんかを綴る。その時、僕はAに生命を吹き込んでいるのだ。Aという人間が生きていたということを証明しているのだ。 

 それだけではない。あなたはAのことを知らない。あなたは僕の綴った文章を通じて、Aという人間のことを知る。あなたはAと会うことはできないけど、あなたの中ではAとの関係が成立する。僕はAの人間関係を広げた。故人の世界は、生きている人間、残された人たちによって、いくらでも拡充できるのである。僕はそう考えている。だから、故人のことは書かなければならないのである。 

 まあ、そういう考えではあるのだけど、生きている人を書く以上に、故人を書くのはなかなか難しいと感じている。 

 

 イカンな。今日は楽しいことなんて書く気分じゃない。このまま続けていっても暗~い話しか出てきそうにない。だから今日はこの辺で終わろう。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

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