12月27日(日):接触欲求
今日は久しぶりに行きつけの呑み屋に顔を出す。このご時世に飲みに行くのは批判が飛んできそうなものなんだけれど、逆に言うと、今の呑み屋では密になることがない。それよりもラッシュ時に帰宅する方が危ないかもしれない。満員電車はいつも怖いと思ってしまう。
その店の常連の女性客からプレゼントをもらった。嬉しいことである。また彼女とも一緒にお酒を酌み交わしたいものだ。
マッチングアプリで知り合った女性とデートをすると言っていた男性の常連客がいたけれど、どうやら上手く行かなかったようだ。デートはしたものの、その後、何の連絡もなしということだそうだ。
もう一人男性の常連客で同じような人がいる。今日はその人のことを書いて残しておこう。彼もまたマッチングアプリのようなもので彼女と知り合ったのだ。先の男性とは違って、彼はけっこう上手く行っていた。その女性と同棲するところまでいったのだ。
彼は僕にも彼女のことを紹介してくれたことがある。カノジョができたら少しばかり自慢したくなったり、カノジョを見せびらかしてやりたいなんて気持ちになるものだ。それは構わんよ。彼女はしっかり者のようで、それでいてなかなか可愛らしい感じの人だったように記憶している。
ただ、その時思ったのは、きっと上手くいかないだろうなということだった。彼は良くても、彼女が彼に満足できなさそうな感じがしていた。
二人が同棲するのはいいとして、その女性がけっこう高級な所に住みたがるのだ。彼らの住んでいる部屋の家賃を聞いたことあるけど、彼の一か月分の給料にほぼ該当してしまう。彼もあまり稼ぎがいい方ではないんで、もう少しランクを落としたらどうだと言いたくなったのを覚えている。人さまのことだから口出しはしなかったんだけれど。
その彼が最近一人で呑みにくるようになったという。きっと別れたんだな。同棲していたら、彼の給料では呑みに行く余裕なんてないはずだ。それに、上手く行っているのならあんな奇行はやらかさないだろう。
先日、彼が来店した時、常連の女性客の隣に来て、なぜか服を脱ぎ始めたそうだ。全裸になるわけじゃないけれど、素面でそれをやったそうだ。そして、その女性客に手を握ってなどとしつこく言い寄ったそうだ。彼も恋愛で破滅するタイプの人間かもしれない。
彼は何かしらの自己顕示をやっているわけだ。手を握ってくれというのは、何らかの接触欲求を出しているわけだ。本来(と言っていいのか)、接触欲求は人間性の回復と関係するものだと僕は思っている。ただ、直接的な接触、つまり肌と肌が直接触れる接触ではなく、もっと間接的、象徴的な接触でそれを実現するものである。直接的な接触によるものの方が発達的に早期である。また、大人の場合、それが許されたパートナーとのみ直接的な接触欲求を満たすものである。
まあ、もうやめとこ。彼のことを書くのも面倒くさくなってきた。彼の人生だ。彼がどうなろうと彼の責任なのだ。彼はこのまま壊れるかもしれないし、立ち直るかもしれないし、どうなるかなんて誰にも分からないことだ。彼に任せるしかないのだ。
それにしても、酒に弱くなった。今日は4杯も飲んでしまった。それでけっこう酔っぱらっている。いつも2,3杯しか飲まない。今日は久しぶりということもあったので、いつもより一つ量を増やしてしまったけれど、その最後の一杯がけっこう効いている。このまま酒に弱くなっていけばいい。とは言え、お酒の楽しみも僕から消えていくのかと思うと、寂しい気にもなってくる。
それにしても、呑み屋の常連客、特に男性の方は、けっこうなダメンズが揃っておるな。僕もその一人かもしれないけど。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)