12月24日:食品ロス 

12月24日(日):食品ロス 

 

 そうか、今日はクリスマスイブか。すっかり忘れていた。近いうちにクリスマスが来るなとは分かっていたものの、今日がそうだとは気が付かなかった。 

 昨夜から今朝にかけてローソンでバイト。ケーキの入荷があったのでクリスマスに気づいたようなものだ。 

 ケーキはいろいろだ。ホールのものから、もっと小型のもの、ショートケーキが二つ入ったものなど。たくさん入荷があった。売り場に並べると華やかになって、キレイでいい。デザート売り場も見栄えがよくなった感じだ。ケーキなんて興味ないくせに、こうして並ぶといいなあなどと思うのだから、僕もどうかしている。 

 あとはこのケーキができるだけ売れてくれればと願うのみだ。きっと、明日や明後日には大量のロスとなって捨てられるのだろうな。勿体ない話だ。 

 今年は天候の影響でイチゴの成育が悪かったそうだ。そのためにイチゴの値段も上がり、ケーキ屋はかなり苦戦しているそうだ。売り場に並んでいるケーキたちを見て、上に乗っかっているイチゴを見て、なんとも空しい気持ちに襲われる。農家さんが苦労して育てたイチゴがきっと大量に捨てられるのだろうな。 

 ロスはこの店に限ったことではない。全国の店舗で出ることだろう。それを思うと、どれだけの廃棄となることだろう。農家さんも気の毒だ。 

 

 食品ロスというものは、全く出ないというのも問題はある。その場合、商品が足りていなかった可能性があるわけで、そうなると、買い物に来た人がお目当てのものを買えずに帰った可能性もあるわけだ。それはそれでやはり困ったことである。 

 だから多少の食品ロスは出た方がいい。ただ、それが多すぎるというのが問題だ。最近、捨てられる食品を見ると僕は空しくなってくる。農家さんが捨てられるために食材を育てたのではないのと同じで、僕たちも捨てられるために陳列したのではないのだ。こうして商品が捨てられると、自分の仕事が無に帰したような無力感を覚える。 

 20代後半にバイトしていたコンビニでは、よく「ロスを出すな」と店長から言われていたものだ。もちろん、その店長は食品が勿体ないといった発想でそう言っているのではない。単に経費の削減のためである。そこは脇へ置いておくとしても、あの店長の方針の方が正しかったような気がしている。ロスは出さないに越したことはない。 

  

 コンビニなんてのは、その辺りがけこうシビアだ。時間が来たら商品を下げることになっている。それどころか、時間の過ぎた商品はレジに通らなくなる。賞味期限が過ぎたからといって、食べられなくなるというわけではない。中身は全然問題ないんだけれど、食中毒問題なんかを避けるために、早目に賞味期限が設定されている上に、店員はそれよりも早目に下げることになっているのだ。なんとも勿体ないことである。 

 お弁当なんかは、売れないときはとことん売れない。大量に廃棄されることもある。本当は日本であの弁当は作れないのだ。あの弁当一つ作るために多くの食材を輸入しているのである。日本国内で作っている食材なんてごく一部に過ぎない。自国で生産したものが廃棄になるのはまだしも(それとて良くはないんだけど)、わざわざ輸入までして仕入れた食材が捨てられるのは、見ていて本当に忍びない。外国の生産者がこれを見たら相当にお怒りになられるんじゃないかという気もする。 

 もし、急激に食糧難が起きたとしたら、食品を廃棄してきたコンビニ店員がやり玉に挙げられるのではないか、などと空想してしまう。お前たちが捨ててきたから食うものがなくなったのだ、などと弾劾されるのではないか。誰かそういうSF小説でも書いてくれんかいな。 

 

 廃棄になるのは売れないからだ。売れないのは値段が高いからだ。値段が高くて買えないのは賃金が安いせいだ。賃金が安いのは国の経済力が衰退しているからだ。では、国の経済力が衰退しているのはなぜか。このように連想が進むと、結局、政治家に文句を言いたくなるというものだ。文句を言ったところで経済が上向きになるわけではないんだけれど。 

 ホント、日本はひどい国になったものだ。 

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

 

 

 

 

関連記事

PAGE TOP