12月2日:関西弁で書く

12月2日(金)関西弁で書く

 

 うちの見解では、血液型の性格区別がまるで当てにならへんのと同様に、生まれ育った都道府県による性格分類もまるで当てにならへんもんである。この都道府県別の性格類型を「県民性」などと表したりするんやけど、都道府県の境が薄れていくに従って、こうしたものは影を潜めていくやろうとうちは思っておる。

 うちは京都生まれ、京都育ちの人間(以下、京都人と記す)や。大阪生まれ、大阪育ちの人間(大阪人)に言わせると、京都人は信用でけへんらしい。それと言うのは、京都人には裏表があると言いおる。表向きは穏やかそうにしとるけど、裏では何考えとるか分からへんなどと言いよる。

 せやけど、ほんなら大阪人はそれほど裏表がないんかというと、どもそやないような気がしてくる。「儲かりまっか」とか「景気はどや」などと尋ねると、大阪人ほどはっきりそれに答えんもんはないとうちは思うとる。京都人なら、例えば「お蔭さんで楽させてもろうておりやす」とか、多少は気の利いたことやホンマのことを言うやろうと思う。「ぼちぼち」などとは答えへんやろうと思う。

 神奈川県で研修に参加した時やけど、僕は前夜つい飲み過ぎてしもうた。それで翌朝、この人は関東出身の参加者やったけれど、うちのこと心配してくれて、わざわざうちの部屋まで来て、「体の具合はどうですか」と尋ねてくれた。うちは「ああ、今日はぼちぼちやな」と答えると、その人は真顔になって、「それって良いんですか、悪いんですか」と尋ねてきおる。うちはどう答えてええか分からなんだ。「ぼちぼち」のニュアンスを理解してもらえへんかったのや。そやけど、この関東出身の彼女の言うてることの方が正しいでとも思った。「ぼちぼち」なんて、ええんかあかんのか分からへん言い方や。それでも、この言い方が大阪人には普通に通用しとおる。

 大阪人に景気のことを尋ねると、「ぼちぼちですわ」ちゅうのは「そこそこいってますわ」くらいの意味で、「あきまへんわ」などと答えおると、これは相当儲かっとるなとうちは思うとりますねん。何でか言うと、大阪人は自分とこを卑下して相手はんを立てるちゅうことをしよる。これが大阪商人の美点でもあるとはうちも分かりますけど、これが裏表を作り出してしもうとることになるわけや。

 そやさかい、大阪人もけっこう裏表を持っとるわけやねん。京都人だけ裏表がある言うて非難するのは間違いやおまへんかとうちは思うとりますねん。

 それはそうと、パソコンちゅうもんは賢いもんで、こうして文章を打ち込んでおると、「それ間違いちゃいまっか」と赤色の波線で教えてくれおる。たいそう親切なこっちゃ。今日のこのブログ、わざと関西弁で書いてみたんやけど、一面赤線だらけや。関西人にはえらい不親切なパソコンやで。

 

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー

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