11月10日:生活と臨床におけるパンセ集(2) 

11月10日(金):生活と臨床におけるパンセ集(2) 

 

(2A)引きこもり傾向の子供を持つ親とのカウンセリング 

親と子の関係が悪化している状況では、子供は親の期待する方向とは反対に進んでしまうだろう。親が右に行ってほしいと期待しても、子供は左に進もうとするだろう。親子の関係改善が先に目指されないといけないのだけど、愚かな親は自分たちの関係はそのままにして、子供だけを動かそうとする。それなら、いっそのこと、子供を勘当する方が潔いというものだ。 

 

(2B)不良の今昔 

 昔の不良は、モテたいとか、先生に反発したいとか、目立ちたいとか、何かと外に向けての動きがあったものだ。今の不良は、ずいぶん自閉的になったなと思う。自分たちの内だけで完結する行動に従事しているようだ。 

 

(2C)チャンス 

 運とかツキというものを僕は信じていない。でも、チャンスと思える瞬間はある。 

 チャンスというものは、それが来るものなのか、招くものなのか、僕には分からない。でも、チャンスをつかむ人と逃す人とがあるようだ。 

 チャンスをつかむ人は、チャンスが来た時に動く。チャンスを逃す人は、チャンスが来た時に、動く準備をする。 

 

(2D)準備 

 大切なのは、すぐに動ける準備をしておくことだ。計画よりも準備である。何をどうするかという計画以上に、何が必要になるかを考え、備えておく方が有益である。僕はそう思う。 

 

(2E)問題のある親 

 子供に生じる問題に関して、そこに問題のある親を見て取る臨床家がいる。僕はそういう視点を持たないようにしている。そのよう理論は、「問題のある親」が初めに有りきであることを示しているように思われる。さらには、臨床家の目にその親がどのように映っているかを単に示しているだけである。 

 

(2F)問題の所在 

 僕たちは「問題」という言葉をさまざまな意味で使い、さまざまな場面で使用する。僕が使用するのは、主に「困難」の意味であり、できればその意味に限定したいと思う。ある人が問題を抱えるということは、その人が何らかの場面において「困難」を経験しているということを示しているに過ぎない。私の身体に手足があると言うように、私に「問題」があるとは言えない。身体に手足が「ある」ということと、明らかに違ったあり方をするものである。 

 

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー) 

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