10月11日(木):杖をつく
膝の痛みが激しい。鎮痛剤は効果があるが、今日は4回も服用した。そして、今日から杖をつくことにした。
できるだけ杖を使わないようにしたいのだけれど、そんなことも言ってられない。歩行が困難になっている。歩くことはできても、かなり不自然な歩き方になる。不自然な歩き方をしていると、やがてどこかを傷めてしまう。杖をついてでも正しい姿勢で歩ける方がいいと結論したわけだ。
昨日はさほどでもなかったけど、今日はクライアントさんたちからも心配される有様である。杖があるのと無いのとで、人の態度って変わるものなんだ。びっこを引いているくらいなら、周囲の人はそれほど気にかけないのだけど、一たび杖をついて歩き始めると、周囲の人が一気に気を使うようになるものなのだ。過去の経験でそのことをよく知っている。心理学的にも実験してみたいところである。
だから、杖をつくと、周りの人に余計な心配をかけ、余計な気遣いをさせてしまいそうに思うのだ。あまりそうなって欲しくないというのが僕の本音である。
痛みは昨日よりもひどくなっている。特に膝の曲げ伸ばしの場面が辛い。座る時や立ち上がる時である。特に立ち上がりがキツイ。そこで杖は欠かせない。
立ち上がってしばらくすると、大丈夫になってくる。そうなると杖はさほど必要ではなくなる。そこに至るまでがたいへんなのだ。
ああ、しかし、痛みに気を取られる瞬間がいくつもあった。面接中も集中を欠く場面がいくつもあった。気がかりを抱えながら仕事をするのは難しい。僕は自分のこの体を呪う。半分は自業自得なんだけど、半分はそうではないのだ。今になって、僕はそれを呪わしく思う。
杖をついてとぼとぼと歩く姿は、本当に老人のようである。人様にあまり心配されることは、僕自身がまだまだダメな人間である証拠なのだ。何としてでも回復してみせなければ。
(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)