1月15日:酒とタバコ

1月15日(水):酒とタバコ

 断酒を初めて4日目。と言うか、最後に飲んだのが4日前というだけのことだ。あれから酒を飲む気がしなくなっている。これは何も酒の話ではない。単に生活を変えたいのだ。
 「単に」と言ったけれど、僕にとってはとても重大なことだ。昨年の終わりごろから、今の生活に辟易していた。生活を変えたいと望むようになった。もっと違った生き方をしたいという感じだ。
 酒を飲むことがしんどい。時には食べることさえ億劫になることもある。そんなことはまったく重要なことではない。
 今夜は飲酒欲求に襲われた。いや、正確に言うと、毎晩多少なりとも飲酒欲求を感じているのだ。いつも呑んでいた時間帯になると、何となく酒のことを考えてしまう。飲みたいという気持ちが生じる。今日は特にそれが強かった。
 仕事を終え、職場を出る。出歩くと酒屋に入ってしまいそうなので、取り敢えず、喫茶店に入って、いわば身柄を拘束して、気持ちを落ち着ける。タバコを一服と思ったら、タバコがない。職場を出る前に最後の一本を吸ったことを思い出した。
 タバコなしでコーヒーを啜り、小一時間ほど書き物をして過ごす。飲酒欲求はどうにか納まっていきそうな兆しが見えている。ところが、今度は喫煙欲求に襲われ始めている。
 書き物をしている間に、ここでしばらくタバコを抜いてみたらどうなるだろうと、ふと考えた。それを実践している。はっきりしているのは、飲酒欲求よりも喫煙欲求の方が耐え難いということだ。僕の場合はそうだ。
 帰宅する。駅に入れば、電車に乗れば安全だ。少なくともその間だけは。22時頃帰宅して、夕食を採る。本当は何も食べる気がしなかった。空腹だけれど、食べたらタバコが欲しくなるのではないかと思い、ようやく納まりかけた喫煙欲求と再び格闘しなければならないのかと思うと、気が滅入る。
 それでも食事はした。すぐに自室に閉じこもり、気分をごまかすために音楽を聴く。ダメだ。音楽に集中できない。本を読んだりしたが、所々で注意が散漫になる。正直に言おう。その間中、タバコが吸いたいという観念にひっきりなしに襲われ続けていたのだ。
 朝の禁煙はまだ耐えられる。つまり、その日最初の一本目を遅らせることの方がまだましだ。最後の一本を早めるよりかは。
 現在、24時半。職場を出たのが20時だから、この4時間半はタバコを吸っていない。たったの4時間だけれど、朝の4時間と夜の4時間とでは、その重みが全然違う。当然、夜の方が、僕にとっては、きつい。朝の8時間に匹敵するくらいの重さだ。
 この4時間半、最初の1時間はまだましだった。その後の2時間が特にきつかった。徐々にそれが納まって、4時間が経過する頃には、それほど喫煙欲求が強くなくなっていることに気づいている。何となく、第1ラウンドを終えたという感じがしている。いつ、第2ラウンドが来るかと思うと、何とも落ち着かない気分だ。
 わずかだけれど、呼吸が楽になっている、空気の通りが良くなった感じがしている。気づくか気づかないかくらいのわずかな差異だけれど、変化は感じられている。
 明日は所用で外出する。こういう時はタバコを喫わない。タバコを持たずに、また途中で買わずに、電車に乗り、行くところに行き、予定の用事を済ませて、寄り道せずに次の目的地へ行き、そうしてタバコのことを頭から追い出してやっていこうと思う。
 いつのまにか、飲酒欲求はどこかへ行ってしまって、それどころではないという感じになっている。

(寺戸順司―高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

(付記)
 喫煙欲求と格闘しているシリーズか。酒の方はまだ何とかなるのだけど、やはり僕の場合、タバコが難しいと感じる。タバコを止めると、ボケそうな気がするのだ。
(平成28年12月)

 

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