4月29日:専門家のパーソナリティ

4月29日(木):専門家のパーソナリティ

 一応、今日から連休ということになるのか。僕は関係ないけれど。

 テレビでは連日のように感染症の専門家が出演されている。だいぶん、専門家の先生たちを覚えた。僕のお気に入りのお三方を取り上げよう。

 筆頭は岡田先生だ。昨年の一時期は毎日のようにテレビで拝見したものである。コロナに対する危機感をしっかり持っておられた先生だと思う。

 二木先生は、貫禄のある、いいお声の落ち着いた感じの先生だ。話す速度も適度で、説明も分かりやすい。ダブルのスーツがよくお似合いのダンディなお方である。仁木先生はとても慎重な人であるという印象がある。データが無い事柄に関しては一切コメントなさらないのである。あくまでもデータに基づこうという姿勢が素晴らしいと思う。

 最後は、僕が個人的に好きな北村先生だ。この北村先生は比喩を多用される。あの比喩を聴くのが楽しみだ。テレビに出ていると、今日はどんな比喩を用いるだろうかと、そっちの方に気持ちが向いてしまうほどである。比喩を用いて説明されると、「おお、そういう比喩を使うのか」と、時に感心することもある。これからもいろんな比喩表現を期待しているところである。

 さて、ここから先は個人名を出さないようにしよう。

 専門家の先生たちはデータを参照する。このデータそのものは客観性に富み、中立である。そのデータを解釈したり、そのデータに基づいて予測を立てたりするときに、その専門家のパーソナリティが入り込んでしまうことがあると思う。

 つまり、楽観的な先生は、データ解釈にその楽観性が持ち込まれ、楽観的な予測をしがちになるだろうということである。悲観的な先生はその悲観性が持ち込まれるので、悲観的に解釈したり、悲観的な予測を立ててしまったりするだろうということである。

 非常事態宣言の効果についても、それなりの効果が出るだろうと予測する楽観論と、この程度の対策では深刻な事態を迎えてしまうなどと予測する悲観論とがあるように思う。しかし、これは解釈し、予測する先生のパーソナリティ傾向が関係しているものと思い、あまりそれに囚われず、あくまでも先生の個人的予測と受け止めておく方が良さそうに思う。楽観的な予測が出たから大丈夫だなどと油断せず、また、悲観的な予測が出たからといって自粛警察みたいな行動をしてしまうといったことも慎まなければならない。専門家の先生と言えども、予知能力があるわけではないので、その予測は先生の個人的見解と捉えておくのがよろしかろうと思う。

 専門家の先生にもいろんな方がおられる。コロナが収束したら、この先生方はテレビから消えることになるだろう。頻繁にテレビでお見掛けする先生には親しみも覚えてきているので、テレビから消えてしまうのはなんとも寂しい感じもするのだけれど、でも、いつかそういう日を迎えることが本当は幸せなことなのだろう。

(寺戸順司-高槻カウンセリングセンター代表・カウンセラー)

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